今日はどこまで走ろうか

日ごろはミュージシャンとして活動をしている落合みつを氏が、愛車W800に乗って日本を旅する道中に体験したことなどを語る連載企画

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ヨシムラ

晴れの国と呼ばれる岡山を、県南西に位置する港町、笠岡から東へ愛車W800で跨ぐ。児島湾で出会ったウナギの漁師から学ぶ自然との共存、その哲学に未来の日本のカタチを見た。

カブトガニがテーマの世界で唯一の博物館

広島を出発し、美しい海を眺めながら瀬戸内海沿いに、さざなみ海道を走る。途中から内陸に入り国道を東へと向かうと、やたらダンプやトラックが多い。幹線道路なのだ。無理をせず安全運転に心がけながら岡山に入ると港町の笠岡に着いた。ここは江戸時代には徳川幕府直轄のいわゆる天領と呼ばれた町だ。それほどまでに笠岡は、商業的漁港としても戦術的軍港としても重要な位置だったことをうかがわせる。昔は代官所もあり備中備後の中心的な役割を務めていたのだろう。今はその名残りも少なく、さびれた雰囲気がときの流れを想像させる町だが、その趣もまた旅人としては心地いい。

いつも笠岡で寄る店がある。1979年に前身の店を創業、現在の地に移り24年が過ぎた老舗、カフェ・ド 萌だ。多くの作家やミュージシャン、アーティストが通ってきた伝説のコミュニティカフェ。一杯のグリーンココアで休息を飲み干し、カブトガニ博物館へ向かう。カブトガニをテーマに生態を学べる専門博物館は世界で唯一だという。1時間もあればたっぷり見れるので軽い気持ちで寄れるのがいい。そのあとは笠岡ラーメンを食した。焼豚ではなく鳥を使った笠岡独特のラーメンはしょうゆ味で、一度は食すべきソールフードだと思う。

足を伸ばし岡山市にある児島湾へ立ち寄った。建築家でありながら近年、漁業権も取得したという地元漁師と出会う。ウナギ専門の漁師だ。彼は、日本が今後、震災などで仮に国として機能しなくなったとしても自力で生きていくことを想定して生活の基盤を作っているという。大量の生産と廃棄を繰り返す現代の生活スタイルに異を唱える彼の言葉は、我々が頭の隅で気付いている現代社会への違和感を射抜いていた。

そんな彼らから夜の酒席に招いてもらった。ウナギ漁師が自ら獲った最高級といわれる児島湾産の天然ウナギを背開きでさばいてもらい、炭火で焼いた蒲焼きを食せば、このうえないほどの至福の時間が流れた。そのウナギは上品な味で、旅とは価値観を学ぶものだと改めて感じさせられた。

コレを飲んどけ

グリーンココア

グリーンココアカフェ・ド 萌では、筆者は必ずグリーンココアをいただく。ツーリングで疲れたときほど体が甘いものを欲するからだ。抹茶ココアに生クリームが蓋をしているのを溶かしながら飲む。早朝からモーニングもやっていて体にも財布にもやさしい定食は評判だ。

落合 みつを

シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/




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