今日はどこまで走ろうか

日ごろはミュージシャンとして活動をしている落合みつを氏が、愛車W800に乗って日本を旅する道中に体験したことなどを語る連載企画

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ヨシムラ

山道を走り抜けて兵庫県を縦断する。プレイヤーはなくても脳内音楽にスイッチを入れれば頭に好きな歌が流れ出す。ブラブラと向かった先は紅ズワイガニで有名な香住だった。

瀬戸内海と日本海をもつ兵庫。カニを求めて縦断する

潮風香る神戸から内陸に入り国道9号に合流した。今回は兵庫県を縦断して日本海を目指す。寄り道しながら目的地まで進んだ。新型コロナウイルスの影響でスケジュールに余裕が生まれたのなら、逆手にとって遊ばねば、人生の大損ではないか。 まず見付けたのが養父市関宮にある山田風太郎記念館だ。養父市は、小説『魔界転生』『忍法帖シリーズ』の作者、山田風太郎の生まれた土地だ。決して大きいとはいえない記念館だが駐車場は広く、とても温もりある雰囲気をまとっていた。山田氏について知識の浅い筆者は、彼の軌跡を味わい大いに刺激を受けた。

道を進むと今度は道の駅・ハチ北を発見した。食堂では地元食材を使ったメニューが数多く用意されている。その先に見つけた看板には“ハチ北温泉”と書かれている。古くからある温泉街のようだ。興味をそそられたら行くべし、と心にしたがいハンドルをきる。愛車にまたがり、山道を予定外の方向へと走らせた。のどかな山村が続く山道を頂上近いスキー場のリフトまで行ったところでUターン。何もないが、それがいい。焦ることもなくブラブラと走る。これが今の筆者のぜいたくなのだから。

さて、兵庫県の1番北に位置する香美町香住に到着した。紅ズワイガニの中でもとくに高級といわれる香住ガニ。地元民からオススメの店を聞き、さっそくランチに向かう。客は2組しかおらず、のんびり落ち着いていた。「地元のカニが食べられると聞いたんだけどありますか?」と店主にたずねると、予約がないと仕入れないと返答された。あきらめかけた時に、カウンターの男性客が立ち上がり「ちょっと待てるか?」と言って店外から香住ガニを持ってきてくれた。なんと男性客は香住ガニの漁師だったのだ。その店で調理してもらい、日替わりの漬け丼と合わせて食す。大満足のランチだった。漁師に別れを告げて海岸を走る。こんな出逢いがあるから旅はいい。ぜいたくとはかのごとし。

コレを食っとけ

海の幸

香住町の土産物屋に立ち寄り、たずねたところ「ランチで間違いない店はここがオススメ」と教えられた。カウンターにいた男性客が地元漁師らしく「俺が何とかしてやる」と言って店を出て自慢の香住ガニを一杯持ってきてくれた。この時期なら4,000円以上するモノだったらしいが半額で食べられたのはラッキーだった。

落合 みつを

シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/




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