今日はどこまで走ろうか

日ごろはミュージシャンとして活動をしている落合みつを氏が、愛車W800に乗って日本を旅する道中に体験したことなどを語る連載企画

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ヨシムラ

熊本県の県境、高森を越えて宮崎へ向かうと現れる“トンネルの駅”で、天孫ニニギが舞い降りた滝を見上げながらマイナスイオンを全身にたっぷり浴びてみた。

廃線になったトンネルを焼酎を寝かせる酒蔵に利用

阿蘇でライブを終え、愛車W800で宮崎へ向かう。カーブが続く山道を下ると山間部にかかる橋を過ぎた先にSLが見えてくる。看板に“トンネルの駅”と書いてある道の駅を見つけたので寄り道した。バイク以外に鉄道にも興味がある筆者は、一体ここに何があるのかを確かめずにはいられない。駐車場の左右におもしろい物を見つけた。

アマテラスが引きこもった天岩戸(あまのいわと)伝説で、大きな岩と、それを投げ飛ばした手力男(たぢからお)の看板が、右奥にある。何かおかしいなぁと思い、よく見ると岩ではなく酒樽を担ぎ上げている。その奥にあるトンネルには酒樽が積まれているのだ。廃線となったトンネルを、神楽酒造が貯蔵庫として再利用していて、天然冷蔵のトンネルに、焼酎を樽に仕込んで寝かせることで旨味を増す製法を生み出していた。見学無料なのでのぞいてみると、トンネル内は“天使のわけまえ”と呼ばれる気化した焼酎の匂いが充満していてなんとも言えないおいしそうな雰囲気だ。併設している施設に入ると神楽酒造の品々が無料で試飲ができるらしい。こんな時だけはバイクで来たことを悔やんでしまう。

同じく、敷地内には滝が流れている。ここは神が舞い降りた、天孫降臨の滝がマイナスイオンを周囲に振りまいていた。向かいに展示されている、役目を終えた列車の車内に入れば、幼き日に乗ったなつかしさに誰もが郷愁を感じるだろう。奥に歩を進めると最初に見つけたSLが線路の上で今も現役だと言わんばかりの優雅な姿を見せてくれた。見過ごしがちな場所だがここに立ち寄れてよかった。次は誰か運転手を捕まえて試飲をしようと企みながらこの地を後にした。

宮崎市内に入ると味のおぐらを探す。名物チキン南蛮発祥の店だ。路地裏にある店でチキン南蛮とハンバーグセットを注文。筆者が知っているチキン南蛮は少しくどいイメージだったがここは胸肉だけを使っているのでくどくない。なるほど、これが元祖なのだと納得のうまさを知った。宮崎に行ったらぜひ食してほしいと思う一品だった。

コレを食っとけ

おぐらチキン南蛮

おぐらチキン南蛮味のおぐらは宮崎名物チキン南蛮発祥といわれる名店だ。脂身のない胸肉を使っているのでさっぱりしているが、タルタルソースが乗れば絶妙な組み合わせだ。セットのハンバーグも肉汁が溢れる。ご賞味あれ。

落合 みつを

シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/




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