今日はどこまで走ろうか?

日ごろはミュージシャンとして活動をしている落合みつを氏が、愛車W800に乗って日本を旅する道中で体験したことなど語る

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カワサキバイクマガジンvol.111掲載記事(2014年12月1日発売)

日ごろはミュージシャンとして活動をしている僕、落合みつをが、愛車W800に乗って日本を旅する道中で体験したことを題材として、カワサキと旅について語る企画だ。これからどうぞよろしくお願いします。

“なるほど”を連発したことわざの語源とは

「日本再発見!」などと言うとずいぶん大げさに聞こえるが、事実、僕は日本の歴史を深くは知らない。正確に言うと学校で軽くしか習わないので、ざっくりとした記憶しかないのだ。日本の歴史に興味を持ち、いろいろ読みあさってみたものの、やはり遠い国のお話のようである。そんなわけで走り出した旅が、僕がウェブTVで放映している『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』だ。ざっくばらんに言えば、その雑誌バージョンがこの企画だ。出先で体験したエピソードをもとに、カワサキと旅のことについて、思いのままにつづっていこうと思う。

今回は東北での話だ。僕の愛車はW800。コイツにまたがり、セパレートギターを積み、うなりを上げて走り出した旅。出会う人と自分の鼻を頼りに福島を抜け、宮城から岩手へ。予定より遠回りしたのだが、それには理由がある。会津の阿弥陀寺・御三階で見た松平容保公の肖像画がそれだ。これは僕が会津を訪れる3日前に、隠し扉から偶然見付かったものだった。肖像画には源容保と直筆で書いてある。つまり、松平が源氏の流れであることを示していた。また、容保公が最後まで戊辰戦争に反対したことをつづる手紙も見付けたのだ。これぞ歴史に触れるということか。つまらなかった教室の思い出が一気に沸騰した瞬間だった。百聞は一見にしかずというが、実際に感じることの喜びは計りしれない。

その興奮からか、スロットルをにぎる手に力が入り、エンジン回転数も上がった。早めのオイル交換と思いバイクショップを探すと、カワサキプラザ仙台を発見する。その前に青葉城に寄って、仙台の街を眼下に『青葉城恋唄』を口ずさむ。ところが、サビしか歌えない。確か僕は、ミュージシャンだったはずだが…。

カワサキプラザ仙台
この日はカワサキプラザ仙台へ寄って、長旅の途中でメンテナンス。ここでは、少し早めだがオイル交換をした。地元ならではの情報も聞けるので、待つ間も楽しい

都合の悪いことはすぐに忘れ、カワサキプラザへ向かう。メンテナンスを済まし、安心して岩手へ走り出した。まず立ち寄ったのは、平泉。道はわかりやすく、すんなり中尊寺へ到着した。世界遺産の認定直後のせいか、ごった返す人、人、人。混み合っているのが苦手な僕は、そのままスルー。義経最後の場所、判官館へ向かった。さっきの松平容保公に続き、ここでも歴史を再発見。

なるほど〜その1“弁慶の立ち往生”〜。弁慶は立ったまま絶命したため、兵はそこから先に進めなかったことから立ち往生という言葉が生まれた。

なるほど〜その2“判官びいき”〜。義経の役職名“判官”を用いて、弱い者に同情するさまから付いた。

へぇ〜、耳になじんだことわざも、語源となった本人たちが目の前だと重みが違う。シメは時空を越え、この場所で芭蕉が読んだ句、“夏草や兵どもが夢の跡”を噛み締めた。あぁ、学ぶは机上だけになし。〝旅で賢くなった気持ち〟にひたれる瞬間である。気高くなった気分で空を見上げ、海へと向かう。

さっきまでの安穏とした空気が一変する。東日本大震災の傷がむき出しで眼前に迫ってくる。この地を訪れた人なら誰もが感じたことであろう複雑な思いを抱え、数年前に寄ったカキ小屋へ行った。さっそく焼きガキ食い放題を注文すると、店主から「まだ用意できない時もあるから今日はラッキーだよ」とひと言。うれしい気持ちとさみしい気持ちが入り混じったので、焼き上げる間に一曲うたって、歌をプレゼント。場も盛り上がりカキもふくれ上がり、ふっくら濃厚な大船渡のカキをこれでもかと喰らう。あと少し胃袋のタンクが大きかったなら…、などと思いながらカキ小屋の兄貴、新沼一也さんと再会&復活を誓い、また走る。

大船渡駅の跡地をすぎると屋台村が見えてきた。ここには浪速屋の谷さんがいた。大船渡を愛し、関西から移り住んだ谷さん。屋台村へ訪れる子どもたちに喜んでもらえるように、全国の音楽仲間から、ケガをしない素材で作った遊具(イスとテーブル)を贈った。受け取った谷さんの満面の笑みは、旅の疲れと心のささくれをやさしくなでてくれた。

大船渡屋台村
大船渡屋台村は、いろんな人が集まる元気の出る場所。そんなところだから、全国の音楽仲間から集まった想いを、子供たちの笑顔につながるようにとケガをしない素材で作った椅子とテーブルにして届けた

漁師のかき小屋

漁師のかき小屋ノリのいいファンキーな兄貴、新沼さんが迎えてくれる、“漁師のかき小屋”。40分食べ放題3,000円で、カキは驚愕の濃厚さとボリューム。震災後は地元のカキが全滅だったので店を閉じていたが、この日は全開フルスロットル。もう食えんと殻に閉じこもるほどいただきました。ここの焼きガキは超絶オススメ!
住所:岩手県大船渡市大船渡町字砂子前1-1(大船渡おさかなセンター内)
電話番号:0192-26-4788

落合 みつを

シンガーソングライター。新潟県出身。04年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/







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