今日はどこまで走ろうか

日ごろはミュージシャンとして活動をしている落合みつを氏が、愛車W800に乗って日本を旅する道中に体験したことなどを語る連載企画

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ヨシムラ

アーティストの僕、落合がW800で全国を巡る旅をつづるこの企画。今回は奈良の明日香村を訪れた。インドで生まれた仏教が中国で広がった後に、朝鮮半島から海を越えてたどり着いた地は、極東の国・日本だった。

飛鳥坐神社

少し急な階段を登ってみると荘厳とした本殿が祀られている。飛鳥坐神社とかいて“あすかにいますじんじゃ”と読む。名前だけですでに不思議さをかもし出しているようだ

生きた歴史を眼前にバイクで巡る明日香村

日本を旅して回れば、必ず見付けられるものがある。その代表格が神社と寺だろう。日本の歴史を探るという僕のバイク旅はある意味、この2つなしでは成立しないといえる。日本が国として外国に認められ、その最初の都が奈良だ。僕はツーリング日和にゆっくりと、奈良の明日香村を訪ねてみた。

町の至る所に史跡の立て札があり、丁寧に案内が記されている。資料を持たずに手ぶらでふらりと走ってきても、散策には困らなそうな雰囲気である。その明日香村で、やはり目指すは日本最古の寺と呼ばれる飛鳥寺だ。インドで生まれた仏教は、日本の飛鳥寺へたどり着く。飛鳥寺はまさに仏教の東の旅の終点といえる。

なかに入ると、細身の飛鳥大仏が眼前に現れた。この大仏は日本最古の仏像で、飛鳥寺が一度焼失した際に屋根がくずれ落ちたにもかかわらず、飛鳥大仏は多少のヤケドはあれど、ほぼ無傷で見付かったらしい。仏に守られているとのことで、当時の人は信心をより深めたことだろう。

飛鳥寺をぐるりと裏に回ると、少し離れた田んぼの真ん中にぽつんと石塔が一つ立っている。蘇我入鹿の首塚である。乙巳の変で中臣鎌足に刎ねられた首が数十mも飛んで落ちた場所に首塚を建て祀っているのだ。薄気味悪いと感じる人もいるかもしれないが、鎮魂の思いを込めて手を合わせてほしいと思う。その他にも中臣(藤原)鎌足産湯の井戸、聖徳太子の生まれた橘寺、飛鳥坐(あすかにいます)神社など、明日香村には至る所に史跡が点在している。ぜひゆっくりとバイクでめぐっていただきたい。

となり町へと場所を移そう。バイクで20分ほど走ると桜井市に入る。ここは伝説が多く残る町で古墳群が数多く見付かっている。県道から脇にそれて舗装された細い道を登ってゆくと中腹から古墳群を一望できる。この見晴らしはなかなかのものだ。さらに上へと登っていくと相撲神社を発見した。実は、この神社は相撲が生まれた場所なのである。境内には相撲の成り立ちについて書かれた看板や石碑がある。バイクを降りてゆっくりと遥か太古の昔、ここで取り組みをした野見宿禰(のみのすくね)を思い描くのも一興ではないだろうか。およそ6時間の散策だったが、見足りない所が多く、何度でも行きたくなる町だと思った。

柿の葉寿司

柿の葉寿司奈良といえば柿の葉寿司。近鉄奈良駅からほど近い場所にある老舗、平宗はサバの押し寿司はもちろんの事、タイの押し寿司や巻き物も充実していてオススメのセットもリーズナブル。ツーリングで仲間と行くなら茶粥も合せてシェアするのもアリ。

落合 みつを

シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/




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