絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

[PR] YOSHIMURA

カワサキバイクマガジンvol.123掲載記事(2016年12月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第11回]燃料系のトラブル

経年劣化しやすい場所。それゆえ注意が必要

キャブレター装着車に付いている燃料コック。金属をベースに樹脂、ゴム部品などで構成されている。燃料コックは多くのパーツがガソリンに触れているため、他の部分より劣化が早い傾向がある。

燃料系トラブルの症状としては

  • バイクに近付くとガソリン臭い
  • 朝一番の始動性が悪い
  • コックをOFFにしても燃料がキャブレターに流れてしまう
  • キャブレターの下にガソリンが溜まってしまうなど

原因は

  • 燃料コック内の樹脂やゴム部品の劣化
  • タンク内のサビが流れ込み詰まった
  • ガソリンホースの劣化

などが考えられる。

そのまま対処しないと、キャブレターがオーバーフローを起こしてしまう。そうすると、空冷Z系の場合はサイドスタンドで傾いている1、2番プラグがカブって始動性が落ち、バッテリーに過大な負荷がかかってしまう。2ストロークの場合はエンジン内にガソリンが流れ込んでしまうことも。これはかなり深刻で、始動困難になるだけに留まらず、最悪、ウォーターハンマー現象でコンロッドが曲がるなど重症化することもある。

対処法の一つは、ノーマルコックのオーバーホールである。ただし、内部パーツの消耗が激しいと完全に直らないこともある。そうすると交換になるのだが、ノーマルイメージを大切にしたい人はリビルド品を、外観より性能を重視する人はカスタム品を選ぶとよい。

燃料コックの構成部品は意外と多い。一番劣化しやすいゴム類は補修パーツが出ているが、樹脂パーツが摩耗した場合はコックごと交換するしかない
マッハ系はオーバーフローすると、この部分にガソリンが溜まりやすい。外部に流れ出していればいい方で、エンジン内部への流入を警戒したい
30年以上経過した純正コック。樹脂フィルターは変形し、内部にサビも発生している。レバーの動きも悪く正常に機能しているとはいえない

ガソリン臭は警告。完璧に修理しよう

オーバーフローによるトラブルを防止するためにも「駐車するたびにガソリンコックをOFFにするクセをつけてほしい」とウエマツのスタッフは言う。とにかくガソリン臭いと感じたら原因を見つけ、修理が済むまでは慎重に扱おう。とくに火気には注意。タバコをくわえたままのぞき込むなんてもってのほかである。

燃料コックの当時モノの純正品(左)と社外リビルドパーツの比較。形状はほぼ同じなので交換しても違和感はない。オリジナルイメージを重視する人向けだ
ウエマツで納車する車両は、ガソリンホースはすべて新品に交換。さらに途中にフィルターを入れて、流れの確認と異物の混入を防いでいる
社外製ガソリンコックの代表、ピンゲル製のコック。取り付けにはアダプターが必要だが、ガソリン流量のアップと耐久性の向上が期待できる

ガソリン経路は新品パーツへの交換で確実に

「キャブレターのオーバーフローやホースの劣化などでガソリンが漏れると、さまざまなトラブルの原因になります。当社ではガソリンホース類はすべて新品に交換し、間にストレーナーをつけるなどして対処しています。点検も受け付けていますのでご相談ください」(ウエマツ)

横田 和彦

バイク歴32年のフリーライター。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へ進み、さまざまなメーカー・排気量のバイクを乗り継ぐ。手元にバイクがなかった時期はなく、現在もツーリングや草レース参戦などを楽しんでいる。




人気記事





カワサキイチバン