ヨシムラ
経年劣化しやすい場所。それゆえ注意が必要
キャブレター装着車に付いている燃料コック。金属をベースに樹脂、ゴム部品などで構成されている。燃料コックは多くのパーツがガソリンに触れているため、他の部分より劣化が早い傾向がある。
燃料系トラブルの症状としては
- バイクに近付くとガソリン臭い
- 朝一番の始動性が悪い
- コックをOFFにしても燃料がキャブレターに流れてしまう
- キャブレターの下にガソリンが溜まってしまうなど
原因は
- 燃料コック内の樹脂やゴム部品の劣化
- タンク内のサビが流れ込み詰まった
- ガソリンホースの劣化
などが考えられる。
そのまま対処しないと、キャブレターがオーバーフローを起こしてしまう。そうすると、空冷Z系の場合はサイドスタンドで傾いている1、2番プラグがカブって始動性が落ち、バッテリーに過大な負荷がかかってしまう。2ストロークの場合はエンジン内にガソリンが流れ込んでしまうことも。これはかなり深刻で、始動困難になるだけに留まらず、最悪、ウォーターハンマー現象でコンロッドが曲がるなど重症化することもある。
対処法の一つは、ノーマルコックのオーバーホールである。ただし、内部パーツの消耗が激しいと完全に直らないこともある。そうすると交換になるのだが、ノーマルイメージを大切にしたい人はリビルド品を、外観より性能を重視する人はカスタム品を選ぶとよい。
ガソリン臭は警告。完璧に修理しよう
オーバーフローによるトラブルを防止するためにも「駐車するたびにガソリンコックをOFFにするクセをつけてほしい」とウエマツのスタッフは言う。とにかくガソリン臭いと感じたら原因を見つけ、修理が済むまでは慎重に扱おう。とくに火気には注意。タバコをくわえたままのぞき込むなんてもってのほかである。
ガソリン経路は新品パーツへの交換で確実に
「キャブレターのオーバーフローやホースの劣化などでガソリンが漏れると、さまざまなトラブルの原因になります。当社ではガソリンホース類はすべて新品に交換し、間にストレーナーをつけるなどして対処しています。点検も受け付けていますのでご相談ください」(ウエマツ)
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。