絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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カワサキバイクマガジンvol.120掲載記事(2016年6月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第8回]リヤ足まわりのトラブル

ひとつひとつのパーツに大きな負荷がかかる

絶版車のリヤまわりでトラブルが起きやすい部分を具体的に挙げると、リヤショック、スイングアーム、リヤホイールであろう。リヤショックに起きやすいトラブルはオイル漏れやブッシュのへたりだ。オイル漏れの原因は、ロッドにサビが出てオイルシールを傷付けたり、経年劣化によるものなどがある。そのまま放っておくとリヤまわりの挙動が悪化していき、衝撃を吸収しきれなくなって底付きして最悪転倒につながりかねない。そこまでいかなくても、ハンドリング性能が低下し気持ちいい走りは期待できない。主な解決策としてはリプロパーツへの交換かオーバーホールが挙げられる。今は安価なリプロパーツもあるので、よほどのこだわりがなければ交換したほうがいい。

スイングアームのトラブルの多くはピボットで発生する。可動部のブッシュやベアリングが偏摩耗しガタが出たり固着すると、乗り心地が悪化する。高速域で突然左右に振られるなど怖い思いをすることも。チェーンがある左側はとくに負荷を受けやすい。解決方法はブッシュやベアリングの交換。車検ごとなど、定期的にグリスアップすることで予防できることも覚えておきたい。

Z1あたりの年式だと、スイングアームピボットにブッシュとグリス溜まりの溝があるカラーを使っている。それ以降のモデルはニードルローラーベアリングを使っていて、流用も可能(上:改良、下:ノーマル)
古いサスペンションにありがちなブッシュラバーの破損。経年劣化で起きることが多いが、見えにくい部分なので外して確認したい
リヤショックはノーマルをオーバーホールすることも可能だが、費用はかかる。リプロパーツの設定がある場合は交換したほうがメリットが多い
リヤショックの場合、スプリングよりもロッドがサビてしまう方が問題。シールをキズ付けてオイル漏れを誘発してしまうからだ

走りを支える重要な部分。消耗も早いので注意!

リヤホイールのトラブルも、消耗品に関係したものが多い。スプロケットハブとホイールの間に入っているハブダンパーやホイールベアリングなども劣化すると、走りに影響が出やすいので要注意。こちらも交換が前提だが、同時に周辺の消耗パーツをチェックし、状況によっては交換したほうが安心なこともある。

ハブダンパーの劣化具合は、ホイールを押さえながら写真のようにスプロケットを動かすとわかる。ガタが大きいようなら交換時期だ
ベアリングの状態は指で触ってみて確認する。ゴロゴロと抵抗があったら交換だ。その際シールベアリングなどに変更すると耐久性が上がる
右は開放型ベアリング。安価だが定期的なグリスアップが必要。中央はシールドタイプ。グリスを保持しやすく抵抗も少ないが防水性は低い。左は防水性が高いシールベアリング

カスタムする前に基本メンテナンスを確実に

リヤショックやスイングアームなどに不具合が見つかると、すぐに社外のカスタムパーツに交換しようとする人がいます。しかし、古い年式でも適切に整備してあれば、当時の部品構成で十分な性能が得られます。他を整備せずに部分的にカスタムすると、かえってバランスをくずしかねません。当時の性能をきちんと取り戻してから、次のステップに進む方が間違いありません。

横田 和彦

バイク歴32年のフリーライター。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へ進み、さまざまなメーカー・排気量のバイクを乗り継ぐ。手元にバイクがなかった時期はなく、現在もツーリングや草レース参戦などを楽しんでいる。







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