絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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カワサキバイクマガジンvol.119掲載記事(2016年4月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第7回]フロント足まわりのトラブル

トラブルが起きると走りに大きな影響が

フロントフォークの内部には、衝撃を吸収するスプリングと、その動きを抑制するオイルが入っている。長期間オイルを交換しないと、オイルが劣化して動きが不安定になる。そのまま放っておくと路面の凹みでフォークが一気に沈み込んでバランスをくずし、最悪転倒につながることもある。その不安定さを解消する方法として、オイルを交換することが挙げられる。ただし、長期間オイルを換えていない場合、フロントフォークをオーバーホールして内部に蓄積した汚れをこすり落とさなければならない。

また、旧車でよくあるのはオイルシールの破損によるフォークオイル漏れだ。オイルシールの劣化やインナーチューブのサビが主な原因で、そのままにしておくとフロントフォークが機能しなくなるばかりか、オイルがブレーキに付着し効かなくなることもある。オイルシールを交換すればオイル漏れは解消するが、インナーチューブがサビていたり、キズが付いていると再発するので、そちらも交換しよう。新品が出ない場合は再メッキという方法がある。かなり状態が悪いものでも復活するし、費用も新品購入プラスアルファ程度なので活用したい。

オーバーホールの際にドレスアップすることも可能。バフ掛けすればここまで違う仕上がりに。バフ掛けにかかる費用は部品にもよるが、大体数千円から([写真上]上:バフ前、下:バフ後 [写真下]左:バフ前、右:バフ後 )
[劣化]インナーチューブはむき出しなのでダメージを受けやすい。サビるとオイルシールを傷めてオイル漏れを誘発するので、新品に交換か再メッキが必要となる
旧車のフロントフォークの部品構成例。大型バイクでも部品点数は比較的少ない。長期放置車は内部に汚れがこびりついているので、ここまでバラし洗浄する必要がある

持っている性能を十分に引き出し、安心して走る

ハンドルの動きが悪いのは、ステムベアリングにサビや凹みが発生している可能性が高い。これも消耗品なので、定期的にグリスアップしたり交換したりしたい。新品のボールベアリングの他、耐久性が高いテーパーローラーベアリングを選ぶ手もある。

定期的にメンテナンスをほどこし、快適な旧車ライフを楽しもう!

ハンドルの動きをなめらかにするステム部のボールベアリング。フレーム側に打ち込まれているレースも同時に交換する。交換するとハンドリングは大きく改善される
ステム部のベアリングをより耐久性の高いテーパーローラーベアリングに交換するのも方法の一つ。ただし接触面積が増えるので、厳密に言えば動きの軽さに差がでることもある
ステムは外部からの衝撃によってレース部に凹みができたり、グリス切れやサビにより動きが渋くなることが考えられる。旧車では起こりがちなので、前輪を浮かせて動きをチェックしたい

オーバーホール時にドレスアップと性能アップを楽しむ

アウターチューブのバフ掛けは右の写真でも紹介した。ドレスアップ効果は高く、見栄えはかなりよくなる。さらに性能を高める方法として、強化スプリングやイニシャルアジャスターに交換したり若干高価ではあるが、インナーチューブにチタンコートをほどこす方法もある。「抵抗を減らし動きをよくして乗り心地を高めます。高価な社外品に換えなくても性能アップできますのでご相談ください」

横田 和彦

バイク歴32年のフリーライター。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へ進み、さまざまなメーカー・排気量のバイクを乗り継ぐ。手元にバイクがなかった時期はなく、現在もツーリングや草レース参戦などを楽しんでいる。







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