絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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絶版車の医学[第4回]キャブレターの不調

徐々に摩耗していく。だから早めに手当てする

可動部や摺動部の消耗は、使用する時間や距離に応じて徐々にだが確実に進行していく。その最たるものがキャブレターだ。内部は1000分の1レベルで作られた高精度部品が数多く組み込まれており、摩耗すれば正しく機能しない。

「キャブレターの不調として挙げられるのは、始動不良・アイドリング不安定・アクセルを戻した時にエンジン回転数の落ちが悪い・スパークプラグの電極周辺が真っ黒に煤けて着火しない・ガソリンのオーバーフローなど。いずれもある日突然出る症状ではなく、少しずつ悪化しているが気付きにくいことです」と語るウエマツ修理部の岩田さん。では、なぜそうなってしまうのか。

「原因は内部の汚れ・ジェット類やホルダー、ニードルの摩耗や劣化・インシュレーターからのエア吸い・同調の狂いなどです。そのまま使い続けていると、エンジンの始動不良・燃費の悪化・アフターファイヤーやエンジン回転数の落ちが極端に悪くなるなど燃調の薄いまたは濃い症状が出ます」

アフターファイヤーとは、マフラーから火を噴く症状だ。キャブレター側に火を噴く症状はバックファイヤーという。

不動・不調の放置は修理代の増加につながる

似たような症状として、点火系の不調も考えられる。ただし点火系の場合は、ある日突然にそれらの不調をきたし、まったく機能しなくなるために気付きやすい。点火系やエンジンの圧縮が正常なのに始動不良を起こしていたり、燃費が悪化していたりするのであれば、キャブレターの状態はかなり悪いといえる。

対処・修理方法としては分解清掃を挙げることができ、摩耗している部品は交換することになる。状態が悪い場合はオーバーホールすることになる。

「たとえばZ1のキャブレターでは、傾向としてノズルが摩耗しやすいので、純正品のストックパーツに交換します。フロートバルブやキャブレタージョイントなど、純正品がない場合はリペアキットに交換します」

内部の清掃や部品交換で済むのは症状の軽い初期の段階で、重度の不調をきたしている場合は交換部品の点数が増え、工賃も増えて修理代がかさむと岩田さんは語る。人の健康管理と同じく、おかしいな? と思ったらすぐに診てもらうべきだ。

不調をきたしているZ1のキャブレターを分解したところ。一つのキャブレターボディにこれだけの高精度部品が組み込まれている。ボディ自体が劣化している場合もあるそうだ
ニードル・ノズル・ジェット・フロートバルブなどは消耗しやすい部品。劣化したものと新品を見比べればその違いは明らかだ。Oリングの伸びきり具合にも驚いた(左:劣化後、右:新品)
エンジン回転数の落ちが悪いとき、インシュレーターからのエア吸いが考えられる。外観のダメージは少なくても、内部はかなり摩耗していることがある。Oリングの劣化具合は一目瞭然(左:劣化後、右:新品)
オーバーフローの原因で多いのがジョイントパイプの劣化・摩耗。外観から点検するのが難しい部分でもある。下は同調を取るためのリンク部品。変形しやすいので要注意(左:劣化後、右:新品)

リンクのガタをなくす。それがプロのこだわり

Z1のキャブレターは、スロットルバルブの稼働にリンク機構を採用しています。バイク用のキャブレターとしては複雑なリンク機構で、部品点数も多い。部品一つのわずかな摩耗が積み重なって大きなガタつきとなり、同調やセッティングにも影響します。ガタをできる限り少なくするのが我々の仕事です。(ウエマツ整備士 岩田さん)

KAZU 中西

1967年4月2日生まれ。モータージャーナリスト。二輪雑誌での執筆やインプレッション、イベントでのMC、ラジオのDJなど多彩な分野で活躍。アフターパーツメーカーの開発にも携わる。その一方、二輪安全運転推進委員会指導員として、安全運転の啓蒙活動を実施。静岡県の伊豆スカイラインにおける二輪事故に起因する重大事故を撲滅するための活動“伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦"の隊長を務める。過去から現在まで非常に多くの車両を所有し、カワサキ車ではGPZ900R、ZZR1100、ゼファーをはじめ、数十台を乗り継ぎ、現在はZ750D1に乗る。
http://ameblo.jp/kazu55z/
https://twitter.com/kazu55z




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