絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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カワサキバイクマガジンvol.128掲載記事(2017年12月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第17回]名医が伝授する絶版車ライフ

絶版車は怖くない。むしろ今が旬でもある。
正しい知識があれば絶版車ライフは充実する

今のバイクにはない独特の魅力を持つ絶版車。オーナーになりたいという夢を持つ人も後を絶たない。しかし生産されてから30年以上経過しているバイクは、現行車とは異なる接し方が必要となる。またインターネットの世界ではさまざまな故障やトラブルなどの情報も流れていて、購入するのに二の足を踏むこともあるのではなかろうか。そんな時に頼りになるのが絶版車専門店だ。

ウエマツは25年以上の歴史を持つ。整備重視のショップと公言し、販売したバイクはどんなに古くても保証書をつけているほど。整備や修理、トラブルなどを手掛けた量も膨大で、ノウハウを蓄積してきた。多くの知識や高い技術力があるからこそ、「旧車が壊れるというのは間違い。現行車と同じようにガンガン乗ってください」と言い切れるだけの車両を提供できるのだ。

その膨大なノウハウの一部を紹介する『絶版車の医学』も、今回が最終回となる。ここであらためてベテランメカニックに絶版車との付き合い方を伝授してもらった。

強調していたのは「10年前より今のほうが絶版車を維持しやすい環境になっている」ということ。というのは、各種リビルドパーツの充実や技術力の向上などが理由だという。多くの経験に裏付けられたその言葉は信頼に値する。絶版車にあこがれている人は、今が購入のチャンスなのかも知れない。

購入時の注意

個人売買で購入する場合、乗りっぱなしの車両が多い。実動車とうたわれていても、必ずしもベストな状態とは限らない。なかにはなんとか動いている車両もあるほど。30年以上前に製造された絶版車とはいえ、リッターバイクなら100ps以上を発揮し、最高速が200km/hを超えるものもめずらしくない。それだけ負荷がかかるのだから、部分的な不具合が致命傷になることも。まずは全体をプロの目でチェックする必要がある。

[ブレーキ関係]ブレーキは最重要チェックポイント。最低でもパッドやフルード、ディスクローターの状態を確認する。また見えにくい部分だが、写真のキャリパーピストンもチェックしたい。サビがひどければトラブルに直結するからだ
[ドライブチェーン]エンジンパワーがダイレクトにかかる部分。劣化していると、突然切れて後輪がロックするとかなり危険なことになる。また切れたチェーンがクランクケースを叩いて割ってしまうという事例もある(上:OK、下:NG)
[ステム]ステムベアリングの動きはハンドリングに直結する。打痕やグリス切れ、レースに傷やクラックが入っているとカクカクと不安定になる。放っておくとレースが割れてステアリングがロックし転倒することも
[ミッション]もし試乗できるならギヤチェンジがスムーズにできるか、ひんぱんにギヤ抜けを起こさないかを確認したい。ミッションを修理する場合はエンジンを車体から降ろしてオーバーホールしなければいけないので、コストが高くなる
[ベアリング]ダメージを受けているのに気付きにくいのがホイールベアリングだ。年式が古いモデルはトラブルを抱えている確率が高い。指で動かしてゴロゴロと抵抗が感じられたら要交換。放っておくとハンドリングに悪影響を与え、最終的に破損し、ホイールがロックする危険性もある
横田 和彦

バイク歴32年のフリーライター。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へ進み、さまざまなメーカー・排気量のバイクを乗り継ぐ。手元にバイクがなかった時期はなく、現在もツーリングや草レース参戦などを楽しんでいる。







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