絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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カワサキバイクマガジンvol.125掲載記事(2017年6月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第14回]2ストローク3気筒のクラッチトラブル

純正パーツが欠品している旧車は早めの対処が重要

いまだに根強い人気を誇るマッハシリーズ。2ストローク空冷3気筒という独特なエンジンレイアウトを持っているがために、トラブルも独特なものが多い。今回は時間の経過によって起きやすいクラッチトラブルについて話を聞いた。

トラブルの症状は

  • 走行中にギヤチェンジしにくい
  • 停車中、ニュートラルに入りにくい
  • ワイヤーを調整しても、またすぐにギヤが入りにくくなってしまうなど

しかもそれらの症状はいきなり発生するのではなく、徐々に進行していくところが厄介だといえる。

原因の一つは、純正クラッチレリーズが経年劣化して削れたり割れたりすること。もう一つはシフト部分を構成しているパーツが消耗しガタが生じていること。手でシフトペダルを動かした時、ロッドやペダルだけが大きく動くようなら危険信号だ。

そのまま乗り続けているとクラッチが完全に切れなくなり、信号待ちでクラッチレバーをにぎってもアイドリングしなくなったり、ギヤ抜けが頻発してミッションの一部が削れ、抜けグセがついてしまう。ミッションは純正パーツでは新品が出ないので、抜けグセがついてしまってから修理しようとすると出費も大きくなってしまうので、できるだけ早い対策が必要となる。

ノーマル状態のシフトはこのようなパーツ構成になっているが、ガタが生じやすいのはコの字型の部品が使われているリンク部分。シフトチェンジするたびに少しずつ摩耗していく
丸穴と接続用のピンが接触することで摩耗する。ガタが多いと力がミッションに伝わらず、ギヤが確実に噛み合っていない状態で力がかかって偏摩耗してしまう
金具をピロボールに交換することで耐久性が大幅に向上する。またガタが非常に少ないので、シフト操作が小気味よく行なえるようになるのもメリットだ
クラッチレリーズはフロントスプロケットの前方に位置している。純正は樹脂製なので削れやすく、時間が経つと劣化し割れてしまうという欠点もある

純正パーツの弱点を社外品でカバー

対処法の基本はクラッチレリーズの交換だが、その場合は作動精度と耐久性が格段に高い社外品の金属製を勧めるという。またシフト部のガタについては可動部をピロボール化することで遊びを大幅に減らすことができる。さらに言うならばピロボールへの交換はすべての旧車に対して有効な方法なので覚えておいて損はない。ミッションを守るために今はまだ症状が出ていない人も確認して対処してもらいたい。

左の社外製クラッチレリーズはオール金属製。耐久性が高いのはもちろん、内部にボールベアリングを内蔵しているので、クラッチ操作自体も軽減される

新品がないミッションは社外を活用

ミッションに抜けグセがついてしまうと気持ちよく走れませんが、マッハ系のミッションはすでに廃盤となっています。社外品では新品のミッションはありますが非常に高価。その社外品でも、品質を確かめてから使用できるかどうか判断し、選別したうえで使用しています。(ウエマツ)

横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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