絶版車の医学

“絶版車の医学”では、絶版車にありがちな症例を紹介し、その対策を解説していく。アドバイザーは絶版車専門店のウエマツだ

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カワサキバイクマガジンvol.124掲載記事(2017年2月1日発売)
イラスト:市川リョウコ 取材協力:ウエマツ

[第12回]駆動系のトラブル

意外と気付きにくい駆動系のトラブル

ライダーが、普通に走っていると感じていても、実際は駆動系が正常に働いておらず、大きなロスになっているということがある。

具体的な症状としては

  • 走行中、わずかに振動、異音がある
  • 押し歩きのときにすれるような音が出る
  • 人のバイクに比べると押し歩きが重いなど

ただしトラブルの初期段階では症状を感じにくく、気付いた時には重症化しているということもある。

そのような症状が発生する主な原因として、消耗品であるスプロケットやチェーンの摩耗・劣化などが考えられる。とくにチェーンは部分的に固着することもあるので見逃さないよう注意したい。

そのままにしておくと加速度的に劣化していき、燃費が悪化するのをはじめ、最悪の場合は高速走行中にチェーンが切れて後輪がロックしたり、クランクケースを破損しオイル漏れを起こすなどの事態になりかねない。異常を感じたらすみやかに新品のチェーンやスプロケットに交換しよう。その際、信頼あるメーカーのパーツを使うとトラブルの再発を予防することができる。

カスタムで太いタイヤが装着されている場合、チェーンラインの確認は必須。ズレているとスプロケの片側だけが減るという現象も起きる
チェーンは古くなると部分的に硬化することもある。チェーンを回したときに固着して曲がったままになっている部分があったら寿命が来た証拠である
スプロケットは歯が尖ってきたら交換時期だ。純正の鉄製は重いが耐久性は高い。対してジュラルミン製は軽いが減りは早いので、マメにチェックしたい
チェーンサイズをダウンするコンバートキットのスプロケットはジュラルミン製で前後セットとなっている。いかにも軽そうなデザインなのもよい

正常に見えてもパワーをロスしていることがある

ところが通常の消耗以外に重大な原因が潜んでいることがある。それは入手した車両が事故車でスイングアームが歪んでいたり、無理なカスタムが原因でチェーンラインが出ていないことだ。そのような場合、新品に交換しても短期間ですぐに片減りしたり、真っ直ぐに走らない・左右のコーナーリング特性が異なっているなどの問題が発生する。もちろん危険度も増してしまう。

一番簡単なチェック方法は、メインスタンドを立てて後輪を手で回すこと。そこで重さや異音がないかを確認するのだが、なかにはプロでないと気付かないような現象もあるので消耗品の摩耗が異常に早いなどの不安要素がある場合は、プロに見てもらうことをお勧めする。古いバイクでも排気量が大きいと駆動部にかかる力は相当なものなのだから。

チェーンは遊びがないとスイングアームの動きを妨げたり急激に摩耗する原因になる。調整する時は1ヶ所ではなく、回しながら数ヶ所でチェックすること
サイズダウンのためのチェーンはどれを使ってもいいわけではない。チェーンによって強度が異なるので、ラベルに記載された適合車種を確認すること

チェーンサイズダウンで性能アップ!

「チェーンやスプロケを交換するとき、サイズをダウンするとフリクションロスが減り燃費も向上します。今までは純正が630なら530へのコンバートが中心でした。しかし最近はさらに技術が進歩したので、より軽量・コンパクトな520への変換キットが登場しました。さらなる軽量化とロスの低減が期待でき、維持コストも抑えられます」(ウエマツ岩田整備士)

横田 和彦

バイク歴32年のフリーライター。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へ進み、さまざまなメーカー・排気量のバイクを乗り継ぐ。手元にバイクがなかった時期はなく、現在もツーリングや草レース参戦などを楽しんでいる。




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