ヨシムラ
夜間、ヘッドライトでは照らしきれないコーナーの先の視界を確保してくれるコーナリングライト。装備されているモデルは少ないが、採用されているのには意味がある。実際に日が暮れた峠道を走り、その効果と存在意義を考えてみた。
カーブの奥まで効率よく照らし安全を確保する
Ninja H2 SX SE/SE+に装備されているコーナリングライトは、バンク角に応じて照射範囲が3段階に変わる。反応はよく、直線で軽く車体を振るレベルでも一つめのライトは点灯する。交差点を曲がる時も点灯するが、街灯が多い市街地ではそれほど必要性は感じない。
ところが明かりがほとんどない夜の峠道に入ると話は違ってくる。そもそもNinja H2 SX SE/SE+のヘッドライトはエアダクトを避けてカウルの中央にある。そのため直進方向の見通しはよいのだが、左右への広がり感がやや少ない印象を受ける。しかもフレームマウントのカウルにビルトインされているので、ハンドルを切っても光の向きは変わらない。カーブの先がまったく見えないわけではないけれど、もう少し奥まで照らしてくれれば…、と思う場面もあった。その“もう少し”をコーナリングライトはしっかりカバーしてくれるのだ。バンクさせるとカーブのイン側、ガードレール、壁面の輪郭まで認識できる。コーナーのかなり奥の方まで見通せるようになるので格段に安心感が高まるのだ。またバンクさせていくにしたがい、段階的に奥の方に伸びていく光の動きを見ているのもオモシロイ。
そして対向車からの視認性が高まるのもメリットといえる。カウル中央のヘッドライトとポジションランプだけよりも、コーナリングライトが点いていたほうがバイクの存在を把握してもらいやすいと思う。
ツアラーは季節や天候、時間などさまざまな条件下で長時間走る。いつでもストレスなく、安全に走行するための装備の一つなのだ。
試乗モデル/2019年モデル Ninja H2 SX SE+
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。