ヨシムラ
シートにもさまざまなコンセプトがあるが、ここでは長距離ツーリングを楽しむための工夫がほどこされた、ヴェルシス1000 SEのシートをインプレッションした。一度またがるともう手放せない。そんなシートだった。
細かな工夫を積み重ねたツーリングに最適な逸品
見るからに巨体で、横に立つとまたがるのを一瞬ためらうほど。ヴェルシス1000SEは、それほど迫力あるフォルムを持つ。しかしまたがると、身長170㎝の僕でも想像していたより悪くない。両足のツマ先が着き、しかもバレリーナ状態ではなく少し余裕があり、またがった状態で取りまわすこともできる。
さて、カワサキはヴェルシス1000SEのタンデムシートについて、カワサキ車の中でもっとも快適とうたう。ならば、ライダー部分も快適なはず。実際そのとおりで、公道400㎞を1日かけて走行した結果、このシートの魅力を体感できた。
このシートは、コントロール性と疲労低減を両立していることが大きなポイントだ。シートは分厚いのだがフカフカした感覚ではなく、高反発ウレタンのような、シッカリとお尻を受け止めるタイプ。そのためワイディングでは車両をコントロールしやすく、高速道路を長時間乗ってもお尻がまったく痛くならない。
また、ブレーキング時にお尻が前にずれにくいのもポイント。エンジンブレーキが効いた時も同じだ。エンジンブレーキがジワッと効くことに加え、シート形状が前のめりではなく、表皮のグリップ力も高いことが影響しているようだ。ささいなようだが、これらの工夫もツーリングを快適にこなすのに貢献してくれる。