2016年モデル D-TRACKER X Final Edition

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ヨシムラ

デュアルパーパスに17インチホイールを装着するというスタイルを国内メーカーでいち早く取り入れたカワサキ。Dトラッカーシリーズは日本のモタード人気を牽引してきた重要な存在である。長かったその物語もついに最終章を迎えた。

ストリート・スプリンターの最終形態

軽量・スリムな車体に単気筒エンジンを搭載したデュアルパーパスに小径ロードタイヤを装着して市街地で使うという発想は、実は昔からあった。プレスライダーなど一部のベテランが実践していたのだ。しかしそれはかなり限られた世界。一般に広まったのはオンとオフ半々のコースで行なうレース、スーパーモタードからであろう。そのカテゴリーに向けた国産車の先駆けが1998年に登場したDトラッカーである。

当初はスーパーモタードの知名度が低かったこともあり、KLX250の派生モデル的な位置付けだった。しかしロードコースで見せる派手なスライド走法などによりモタードの注目度が高まった結果、Dトラッカーの人気も上昇する。高回転型エンジンとロードタイヤの組み合わせは、驚くほどキレのある走りを見せ、一気にファンを増やした。

2008年にフルモデルチェンジして車名もDトラッカーXとなった。内容はフューエルインジェクションなどによる環境性能の向上、デュアルヘッドライトやデジタルメーターなどの採用、外装デザインの一新、前後サスペンションの専用セッティングなど。進化した国産モタードは確実にユーザーを増やした。

ファイナルエディションは、“D”のロゴを大胆に取り入れた1999年モデルのグラフィックを現行モデル用に再構築している。ホイールリムもアルマイト仕上げにするなど、Dトラッカー伝説を継承するにふさわしい仕上がりになっている。

1998年モデル D-TRACKER
1999年モデル D-TRACKER

“闘う4スト”というキャッチフレーズで高性能を誇ったKLX250をベースに前後17インチのロードタイヤを装着。市街地を軽快に駆け抜けるスプリンターとして地位を確立した

2016年モデル D-TRACKER X Final Edition インプレッション

専用セッティングがほどこされたサスペンションと17インチタイヤの組み合わせはストリートで明確な接地感が伝わってくる。タイトなカーブで体感できるキレのあるコーナリングは痛快そのものだ

2016年モデル D-TRACKER X Final Edition
2016年モデル D-TRACKER X Final Edition

長いサスペンションストロークと小径ホイールの組み合わせがモタードの特徴。通常のロードバイクより走破性が高いので、荒れた路面などに差し掛かっても不安が少ない。前後サスペンションはロードタイヤ用に減衰やストローク量などが調整されている
2016年モデル D-TRACKER X Final Edition
2016年モデル D-TRACKER X Final Edition

やや低く構えたスタイルが戦闘的。ロードタイヤは幅が広いので迫力がある。保安部品の仕様はKLX250と一緒だが、バーハンドルは幅が狭く高さも低め。市街地で扱いやすい形状になっている。ミラーは角ばったデザインを採用している
2016年モデル D-TRACKER X Final Edition フロントタイヤ
2016年モデル D-TRACKER X Final Edition リヤタイヤ

前後ホイールは、スタンダードがブラックなのに対し、ファイナルエディションはブルーアルマイト仕上げ。タイヤサイズは17インチでタイヤの選択肢は多い

2016年モデル D-TRACKER Xのライディングポジション

2016年モデル D-TRACKER X Final Edition ライディングポジション

17インチホイールを採用しているのでKLX250より足着きはずっとよい。ハンドル幅もせまく、高さも低めなのでストリートでの使い勝手はよい。サスペンションが前後によく動くのもモタードらしい(身長:172㎝ 体重:68㎏)

2016年モデル D-TRACKER Xの主なスペック

車名(通称名) D-TRACKER X Final Edition
マーケットコード KLX250VGS
型式 JBK-LX250V
全長x全幅x全高 2,130mm×795mm×1,125mm
軸間距離 1,420mm
最低地上高 225mm
シート高 860mm
キャスター/トレール 25°30’/ 73mm
エンジン種類/弁方式 水冷4ストローク 単気筒 / DOHC4バルブ
総排気量 249cm3
内径x行程/圧縮比 72.0mm×61.2mm / 11.0:1
最高出力 18kW(24PS)/9,000rpm
最大トルク 21N・m(2.1kgf・m)/7,000rpm
始動方式 セルフスターター
点火方式 CDI
潤滑方式 ウエットサンプ
エンジンオイル容量 1.3L
燃料供給方式 フューエルインジェクション
トランスミッション形式 常噛6段リターン
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ 1速 3.000(30/10)
2速 2.000(30/15)
3速 1.500(27/18)
4速 1.190(25/21)
5速 1.050(21/20)
6速 0.952(20/21)
一次減速比/ 二次減速比 2.800(84/30) / 2.785(39/14)
フレーム形式 セミダブルクレードル
懸架方式 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 43mm)
スイングアーム(ユニ・トラック)
ホイールトラベル 230mm
205mm
タイヤサイズ 110/70-17M/C 54S
130/70-17M/C 62S
ホイールサイズ 17M/C×MT3.00
17M/C×MT4.00
ブレーキ形式 シングルディスク300mm(外径)
シングルディスク240mm(外径)
ステアリングアングル (左/右) 45°/ 45°
車両重量 138kg
燃料タンク容量 7.7L
乗車定員 2名
燃料消費率(km/L) 40.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
29.5㎞/L(WMTCモード値 クラス2-2、1名乗車時)
最小回転半径 2.3m
カラー ブルー21(BLU)
発売日 2016年5月15日
メーカー希望小売価格 58万5,360円(税込み・当時)
問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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