ヨシムラ
いまやサスペンションにも電子制御が取り入れられる時代。カワサキではNinja ZX-10R SEから採用されるようになり、Ninja H2 SX SE+など、スポーツツアラーにも採用例が増えている。電子制御サスペンションの性能を体感した。
モードの切り替えによりサスの減衰力調整が可能
ここ数年、ビッグバイクを中心に採用するモデルが多くなってきているのが電子制御サスペンションである。電子制御サスペンションとはどのようなものなのか。まずは、インプレッションを務めた戸田 隆氏に電子制御サスペンションのメリットを聞いてみた。
「今はスーパースポーツモデルを中心に、プリロード調整や減衰力調整ができるフルアジャスタブルサスペンションが採用されています。路面状況が変化した場合などにサスペンションの減衰力調整を行ない、走りやすくすることができるのですが、このフルアジャスタブルサスペンションは工具を使って調整しなければならず、自分で工具を使って調整している人は少ないのではないでしょうか。対して、電子制御サスペンションはメーカーがある程度設定したモードのなかから、走行状況に合わせて手元のスイッチでサスペンションのセッティングを変えられるようになっているので、走行状況に応じて手軽にセッティングを変えることができる。それが一番のメリットなのです」
採用モデル:2019 Ninja ZX-10R SE
2016年モデルのNinja ZX-10Rより採用されたバランスフリーフロントフォークとBFRC liteに、電子制御機能を追加。高性能サスペンションの機能を発揮できるよう、前後サスペンションにはストロークセンサーを内蔵し、ストローク量やストロークスピードを0.001秒ごとに検知。IMUからは車体のピッチング情報などを収集し、車両ECUからは前後輪の回転速度情報を得て車速を検知する。これらの情報を統括して最適な減衰力を決定している。
採用モデル:2019 Ninja H2 SX SE+
Ninja ZX-10R SEに搭載されたKECSを見直して、ニンジャH2 SX SE+に採用。フロントフォークは左右で構造が異なり、片側はカートリッジ式ダンパーと電子制御式油圧バルブを装備、もう片方にストロークセンサーを内蔵して、ダンパー機能は装備していない。リヤショックはZX-10R SEと同様のBFRC liteだが、車種専用セッティングがほどこされ、電子制御プリロード調整機能を備えている。
試乗モデル/2019年モデル Ninja ZX-10R SE
試乗モデル/2019年モデル Ninja H2 SX SE+
山下 博央
フリーランスライター&カメラマン