THE MINORITY

伝説の名車だけがカワサキではない。あふれる個性を持つカワサキのマイノリティ(少数派)たちを紹介

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カワサキバイクマガジンvol.038掲載記事(2002年10月1日発売)

1984 KR250

異端のライムグリーン

「KR250」というバイクには2種類ある。1つは、コーク・バリントンやアントン・マンクのライドで圧倒的な強さを見せ、世界GPにカワサキ黄金期を築いたワークスマシンのKR250。そしてもう1つが、そのワークスマシンの技術を受け継いだ市販モデルのKR250である。

市販のKRが発売されたのは84年。最強のワークスマシンの名称をそのまま受け継ぐレーサーレプリカ登場とあって、当然ながら大きな注目を集めることになった。国内発表の行なわれた富士スピードウェイには、清原明彦氏を筆頭に南アフリカからコーク・バリントンが来日するなど、カワサキが賭ける熱意は誰の目にも明らかだった。

流線型のカウリングをまとっていたレーサーに対して、市販KRは若干、GPZ系の匂いがするエッジの効いたデザイン。スタイルこそ違いはあるが、メカニズムにはレースでつちかわれたノウハウがふんだんにフィードバックされてていた。

とにかく個性的な車体構成が特徴で、国産としては初のタンデムツインエンジンを搭載、250ccながら45psを叩き出す実力を発揮した。フレームはメインフレームとテールフレームをアルミキャスティングパネルでボルトオン構成するという3ピースシステムで、強度部材のほとんどにアルミを採用し軽量化も図られていた。フロントフォークにはブレーキング時に沈み込みを制御するAVDS、フロントホイールサイズは時代を反映する16インチと、まさにレーサーレプリカの名に恥じない当時最高の技術で固められたマシンであった。

しかし個性的すぎるスタイリングと「乗ってみればツアラー」的な要素も持ち合わせており、カワサキファンからは大きな人気を得られなかったことも事実。名車たりうる要素は十分に持ちながら、広く受け入れられることのなかった不運な車両であった。

[水平ユニトラックサス]KRのリヤサスペンションはエンジン下に水平に設置するというユニークなレイアウト。一般的なサスは「縮む」ことにより衝撃を吸収しているが、KRの場合はベルクランクを介し「伸びる」ことで減衰力を発生させているのが特徴。低重心とマスの集中化を狙ったものだった
[タンデムツイン]このバイクを語る上で避けては通れないのが、「タンデムツイン」と呼ばれる特異なエンジン形式である。普通、並列エンジンは進行方向に対してシリンダーが横に並んでいるが、KRでは前後方向に配置。車体幅を単気筒並みにスリムにできるメリットがあり、クランクシャフトは前後に2本、カムダンパーを介してクラッチギアを駆動するという特殊なメカニズムであった
[GPレーサー・KR]78〜81年のWGP250ccクラスにおいてカワサキの強さは尋常ではなく、KRは4年連続でチャンピオンの栄冠に輝いている。このタンデムツインエンジンは2基並べてスクエア4とし、500ccマシンにも活かされている

KR250 SPEC

●全長×全幅×全高:2,035×685×1,185(mm) ●軸間距離:1,360mm ●車両重量:133kg ●エンジン形式:水冷2ストロークロータリーディスクバルブ直列2気筒 ●排気量:249cc ●ボア×ストローク:56×50.6(mm) ●最高出力:45ps/10,000rpm ●最大トルク:3.7kg-m/8,000rpm ●燃料タンク容量:18L ●発売当時価格:49万8,000円




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