THE MINORITY

伝説の名車だけがカワサキではない。あふれる個性を持つカワサキのマイノリティ(少数派)たちを紹介

[PR] YOSHIMURA

カワサキバイクマガジンvol.039掲載記事(2002年12月1日発売)

1982 AV50

先見性の光るアメリカン

80年代初頭、スポーツバイクの性能が高まっていく一方で、ゆったりとしたポジションでイージーライディングが可能な「アメリカン」というジャンルのバイクが登場。カワサキではZ400LTDを皮切りに、250ccや750ccでもこのイメージのバイクをリリース。一連の「LTDシリーズ」を形成することになる。そんな時代、車名こそ違うものの確実にその文化の影響を受け、とあるレジャーバイクがリリースされる。それこそがAV50であった。

それまで小排気量車には積極的ではなかったカワサキだったが、81年にリリースされたARやAE(本格的な原付モデルで、7.2psを発揮する2サイクルエンジンを搭載。オフロードバージョンがAE50)が思いのほか好評を得て、4サイクルでの50ccを求めるユーザーの声に動かされるような形でのリリースであった。カワサキ初の4サイクル50ccエンジンは、一見するとライバルのモンキーと似ているような前傾シリンダーである。しかしそこはカワサキ、最高出力は4サイクル50ccとしては強力な5psを発生し、4速ミッションを駆使すれば十分交通の流れにも乗れる軽快な走りを見せることができたのである。

ホイールに関してもカワサキお得意のキャストホイールを採用。また各部のパーツには大排気量車に匹敵するようなクロームメッキがほどこされ、アメリカンモデルの重要な要素である「所有欲」を満たすのにも十分だった。

初期型ではオイルラインによるエンジントラブルが出たものの、改善されてからは「ポップなミニアメリカン」としての地位を築き90年まではカタログにラインナップし続けた。しかし「重量車のカワサキが原付を作った」ということに抵抗を感じるユーザーも多く(これはARなどにもいえる)、広く受け入れられることがなかったのである。同じジャンルといえるホンダのJAZZに4年も先がけてリリースした先見性が理解されていないことは惜しいとしか言いようがない。

[スライド式シート]チョッパーの段付きシートか、はたまたバックレストをイメージしたかようなAVのシート。デザインも斬新だったが、このシートは前後3段階にスライドするというシステムが採用されていた。大柄な人でもベストなライポジを確保することができる
[初の4スト50cc]これから先のことはまだわからないが、少なくとも現段階ではカワサキ市販車の最初で最後の4スト50ccエンジンである。オートカムテンショナーでバルブタイミングのズレをコントロールするなど、メンテナンスフリー性を追求したユニットだった
[アメリカン創生期]現在も確実に支持され続ける「アメリカン」というジャンル。このカテゴリーのバイク熱が急速に高まったのが80年代初頭だった。プルバックハンドルや段付きシート、極太リヤタイヤを装備しながら、心臓部は並列ツインや直4を搭載して割とスポーティな走りもこなすことができたのが現在とは異なる点だ(写真はZ250LTD)

AV50 SPEC

●全長×全幅×全高:1,665×695×1,030(mm) ●軸間距離:1,100mm ●車両重量:69.5kg ●エンジン形式:空冷4ストロークOHC単気筒 ●排気量:49cc ●ボア×ストローク:39×41.6(mm) ●最高出力:5.0ps/9,500rpm ●最大トルク:0.4kg-m/7,000rpm ●燃料タンク容量:7.6L ●発売当時価格:14万5,000円







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