ヨシムラ
航空宇宙部門がある重工業ならではの本気の企画
昨今はNinja ZX-10Rのエンジンを搭載したドローンや、Ninja H2Rのエンジンを搭載した複合型ヘリコプターを発表しているカワサキ。先に本サイトでも複合型ヘリコプター“K-RACER”を紹介したところ大きな反響があったが、そこで思い出したのが2017年2月に行なわれた“カワサキモーターサイクルフェア2017〜挑戦の軌跡と夢〜”だ。
このイベントは兵庫県・神戸海洋博物館で行なわれた企画展。過去の本サイト記事でも『[2017]カワサキワールドが2月14日(火)から「カワサキ モーターサイクルフェア -挑戦の軌跡と夢-」を開催』として少し触れているが、カワサキのモーターサイクル部門の技術者と他部門の技術者たちとが本気でコラボレートしたモデルたちが展示されており、そこには“空を駆けるモーターサイクル”をコンセプトでモーターサイクル部門と航空宇宙部門とのコラボレートして設計された“H2-AIR TYPE-1”などのパネルが展示されていたのだ。
Ninja H2Rならどうすれば実際に飛行できるのか。離陸速度が何㎞/hあればいいのか。その際には翼の大きさや形状は? こういった要素をシミュレートした結果、計算上では360㎞/hで離陸し、最高48mの高さまで上昇。そして1,000mの距離を滑空できるとのこと! 素人が写真などを見て真似すれば飛行できるようになるわけではないだろうが、とはいえ“空を飛びそうなバイク”ではなく“本当にバイクで空を飛べるようにした”というのはなんとも夢のある話だ。
しかもそれで話は終わりではない。ではNinja H2Rエンジンを航空機に使ったらどのくらいの性能を引き出せるのかもシミュレート。そして生まれたのが”H2-AIR TYPE2″で、レシプロ航空機そのものも設計されているのだ。航空機の形状はどことなく飛燕こと、かの三式戦闘機によく似た形状なのはご愛敬なのだろうか。ちなみに性能は最高速は500㎞/h、航続距離は2,000㎞が見込めるとのこと。
バイクのエンジンは軽量コンパクトで、かつパワフルな出力が得られることから、今後も他分野で活用される可能性は高い。すでに他社でもバイク用エンジンを流用した四輪車などが製作・販売されたこともあるが、四輪車ならカワサキも”KAZE X-11″という、ZZR1100エンジンを搭載したフォーミュラーカーを製作したことがある。今後さらに他分野にバイクのテクノロジーが活用されていくのは想像に難くないが、カワサキのさまざまな挑戦は今後も注目だ。