1点集中チェック!

走行性能に何かしら影響する機能や装備のうち、ある1点に集中してインプレッションする

[1点集中チェック!]Z900の燃費

ページを共有

ヨシムラ

この企画はライディングポジション、ミラー、シート、サスペンションなど、ある特定の機能や装備をインプレッションするという企画だ。“一ヶ所だけの感想で2ページも語れるのか?”といった心配もあるが、意外と語るべきネタは多い。

公道を実走することで燃費と燃料消費量を測定

[1点集中チェック!]Z900の燃費

給油する時、スタッフが中央に穴の開いたウエスを使っているのを発見。聞けば、タンクにガソリンが付着するのを防止するため、バイクの給油用に作ったウエスとのこと

今回は、Z900(2020年式)を使って燃費とガソリンの消費量について調べた。チェックした内容と結果は下に掲載したとおりだ。

ガソリン満タン走行距離

ガソリン満タン~5目盛り 111.3㎞
ガソリン満タン~4目盛り 146.3㎞
ガソリン満タン~3目盛り 164.8㎞
ガソリン満タン~2目盛り 203.5㎞
ガソリン満タン~1目盛り 235.4㎞
燃料計点滅 273.8㎞
ガス欠 334.2㎞

Z900RSの燃料計は6目盛りあり、ガソリン満タンから1目盛り減って5目盛りになった時のガソリン満タンからの走行距離、次に4目盛りになった時のガソリン満タンからの走行距離…、この作業をガス欠になるまで繰り返した

燃費(軽二輪)※2020年9月調べ

KLX230(2020)
一般道路 31.4㎞/ℓ
高速道路 30.4㎞/ℓ
Z250(2020)
一般道路 33.2㎞/ℓ
高速道路 27.9㎞/ℓ

車種によっては、一般道路より高速道路のほうが燃費が悪くなる場合もある。左の表がその一例で、排気量が大きくない軽二輪クラスでは、高回転で走り続ける高速道路のほうが燃費が悪くなっている

ガソリン満タン走行距離

平均燃費(実測)※ 21.4㎞/ℓ
平均燃費(メーター表示)※ 21.8㎞/ℓ
一般道路 19.7㎞/ℓ
高速道路(6速、90㎞/h) 24.6㎞/ℓ
高速道路(6速、100㎞/h) 24.4㎞/ℓ
高速道路(6速、110㎞/h) 23.9㎞/ℓ
高速道路(5速、100㎞/h) 21.9㎞/ℓ
カタログ数値(定地燃費) 24.0㎞/ℓ
カタログ数値(WMTCモード値) 18.4㎞/ℓ

※走行距離:902.8㎞
※走行シチュエーション:市街地、ワインディング、高速道路

上の表に関して、一般道路の測定方法が、WMTCモード値の測定方法に近い測定方法だ。今回は実測値がWMTCモード値を上回った。Z900のメーターには平均燃費が表示されるが、実測と0.4㎞/ℓの誤差が発生した

スピードとギヤの違いによる燃費の差をチェックするためには、一定のスピードで走り続け、かつ同じギヤを維持する必要があったため、高速道路を使うことにした。結果は、90㎞/h~110㎞/hの範囲では、同じギヤであればスピードが高い、すなわち回転数が高いほど燃費が悪くなった。また、Z900のような900㏄クラスであれば、100㎞/hで走行するなら、5速より6速のほうが明らかに燃費がいいことがわかった。というより、この結果は、うすうす感じていたことの再確認といったところか…。

興味深かったのはカタログ数値との比較だ。僕はこれまで、普段バイクに乗る時の数値よりカタログ数値のほうがいい数値なのでは、と思っていた。ところが、WMTCモード値に関しては、今回の実測値のほうが燃費はいい。カタログの定地燃費に関しては、60㎞/h一定でタンデムで走り続けた時の燃費であり、その計測方法は公道では不可能なので、今回は実験していないが、同様の方法で測定した高速道路での燃費は、カタログ数値を上回った。

給油と距離測定を繰り返しガス欠まで走り続ける

おもしろいのが燃料計とガソリン消費量の関係だ。Z900ではガソリン満タンから1目盛りと、最後の1目盛りで、それぞれ約100㎞を走ったが、その間は30㎞前後で1目盛りが減った。燃費から計算すれば、Z900の燃料タンク容量17ℓのうち、残り1目盛りの時点で約5ℓ、燃料計が点滅した時点で約3ℓが残っていることになる。

ただ、車種によっては残り1目盛りとなっても、ガソリンが半分くらい残っている場合もある。僕が乗ったカワサキ車のうち、その傾向が現れたのがZRX1200ダエグとKLX230だ。燃料計の目盛りがすぐに減ってしまう一方で、残り1目盛りで異常に長く走るのだ(※2020年当時編集部調べ)。

過去に本誌が実験した結果、ニンジャ250やZ250などの例外を除き、カワサキ車は残り1目盛りで100㎞前後、燃料計が点滅してから70㎞前後を走る。これは想像だが、この残りの走行距離に帳尻を合わせるべく、燃料計の減り具合を設定しているのではないだろうか。だから燃料タンクの容量や燃費の良し悪しによっては、ZRX1200ダエグやKLX230のような症状が現れるのだろう。

この給油量がスペックのタンク量だ

僕がつねづね気になっていたことが、スペックの燃料タンク容量は、燃料タンクのどのくらいまで給油した時の量なのかということ。カワサキに聞いたところ、2020年モデルに関していえば、車体を垂直にした状態で、給油タンクキャップの内側にある金具に、ガソリンが付くか付かないかくらいの位置が、スペックの燃料タンク容量とのこと。つまり下の写真の給油量だ。ガソリン満タンといったら、この給油量なのだ。

[1点集中チェック!]Z900の燃費

今回のチェックマシン「Z900(2020)」

[1点集中チェック!]Z900の燃費

2017年に発売が開始され、2020年には機能的な変更が加えられた。走行性能に特化したネイキッドで、トラクションコントロールを装備する。非常に軽快な走行性能が特徴で、コーナリングでバンクさせる時も、ライダーの操作に対してクイックに反応する。スロットル操作に対するエンジンの反応も低回転域から力強い。それゆえ、ワインディング走行は実に楽しい

Z900(2020)の主なスペック

全長×全幅×全高 2,070×825×1,080(㎜)
軸間距離 1,455㎜
シート高 800㎜
車両重量 213㎏
エンジン型式・排気量 水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列4気筒・948㎤
ボア×ストローク 73.4×56.0(㎜)
最高出力 92kW(125㎰)/9,500rpm
最大トルク 98N・m(10.0kgf・m)/7,700rpm
燃料タンク容量 17ℓ
タイヤサイズ (F)120/70-17・(R)180/55-17
発売当時価格 104万5,000円
問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
井田 幸雄

カワサキバイクマガジン編集部員。旅の移動手段としてバイクに乗り始め、オン/オフのツーリングを楽しんできた。約30年のバイク歴のなかで、所有したカワサキ車はスーパーシェルパ、Z1R、そして現在乗っているGPZ900Rだ ■身長:170㎝ ■体重:50㎏




人気記事




カワサキイチバン