人とバイクの交差点

カワサキ乗りの個性的なバイクライフを紹介していくカワサキバイクマガジン連載企画。それぞれの人間模様やバイクとの関わりかたに迫る

バイク乗りのために手作りした“バイクの駅”

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ヨシムラ

茨城県の名所、鹿島神宮からほど近い海岸線を走る国道51号線には、見慣れない看板がある。その看板に書かれた文字は“バイクの駅”。確かにバイクが多く集まっていて、そしてクルマの姿はない。はたして、バイクの駅とは何なのか?

誰でも使える道の駅? いいえ、バイクの駅です

最近、増殖中のライダースカフェ。バイク乗りの集まるスポットとして、人気を集めている。今回紹介する“バイクの駅 ROUTE51”も、そうしたお店のひとつ…、と取材に訪れるまでは、そう考えていた。だが、現地を訪ねてみて驚いた。店名にあるとおり、ここはバイクの駅なのだ。

「バイク乗り専用の、道の駅みたいなモノを作りたかったんです。ですから、駐輪場はバイクのみ利用可、クルマはお断りしています」

そう語るのはオーナーの篠田耕治さん。バイクの駅を始めるキッカケは、公務員を定年退職した後、第二の人生を歩みだすにあたり、夢だった別荘を手にいれることを考えたことなのだそうだ。

「中古別荘は、随分いろいろと見て回りましたね」

駐車スペースが大きい物件という条件を出したところ、紹介されたのが現在の土地だった。国道51号線から太平洋が見渡せる爽快な眺望が、ひと目で気に入ったという。

といっても、「ウチは一段下がった場所なので、海が見えないのが残念ですね(笑)」というオチもつくのだが。

現在、無料休憩所兼カフェとして使っている建物はもとから建てられていたものだが、駐輪場の部分は草だらけの荒れ地。格安だったとはいうものの、予定外の大きな土地を購入したのだった。これだけの広さ、自分だけで使うのはもったいないと考えた篠田さん。“仲間が集まっても大丈夫な施設”→“バイクが好きな人に使ってもらえる施設”と構想が広がり、現在のバイクの駅にたどり着いた。

篠田さんは、悠々自適の日々を送っているわけではない。月曜日から金曜日は、再就職先で普通にお勤め。だから、ROUTE51に来られるのは土日祝のみ。けれど、施設自体は365日24時間利用可能だ。

「自分がここにいるときしか建物のなかには入れませんが、駐輪場とトイレはいつでも使えるように解放しています。椅子とテーブル、飲み物の自動販売機も設置しています」

篠田さんがいるときには軽食も提供しているが、それは利用者からの要望に応えたもので、儲けが出るようなものではない。篠田さんの自宅は東京の西部にあり、毎週金曜日に仕事を終えた後ここまでやってくる。交通費を抑えるため一般道を利用、片道4時間もかかるという。施設の整備は、ほとんどDIY。利益どころか出費がかさむばかりの事業だ。

「自分は、長く公務員として働かせてもらった。みなさんのおかげで生きてこられたと考えていますから、社会へのお返しがしたいんです。この施設は、地域住民の方にも使ってもらっています。平日の午後は地元の子供たちの遊び場になっています(笑)。ライダーには便利に使ってもらえればいいですね。商業施設的なサービスを提供するつもりはありませんから」

それでも、この場所にはライダーが集まってくる。

「訪れてくれたライダーが立ち去るとき、見送りは必ずします」

こんな篠田さんだ。何度も会って、何度も話したくなるに決まっている。

DIYで工事中

取材当時、広大な駐輪スペースとなっている部分は、もともとは草が生え放題だった荒れ地だ。そこを篠田さん自身の手で、少しずつ整備を進めてきた。駐輪スペースはコンクリート敷きで、通路となる部分がジャリ敷きなのは、施設内でスピードを出さないようにという安全対策。すでにバイク80台の駐輪スペースが確保されているが、最終的には200台規模になる予定

篠田耕治さん

東京都出身、1950年生まれ。愛車は長年所有するZ2と、数年前に手に入れたハーレーFXDC。写真のゼファー750のZ仕様は、4台のカワサキ車を所有する息子さんの愛車の1台。ROUTE51運営のため、自分がバイクに乗る時間がとれないのが悩みの種

取材協力バイクの駅 ROUTE51
住所茨城県鹿嶋市荒井254-4
電話番号0299-69-5160
淺倉 恵介

フリーランスライター&エディター




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