人とバイクの交差点

カワサキ乗りの個性的なバイクライフを紹介していくカワサキバイクマガジン連載企画。それぞれの人間模様やバイクとの関わりかたに迫る

理美容室の一角に広がるバイクライフの空間 ─ 理美容室経営者
理美容室内のセット台のすぐ横に福石さんのバイクが並ぶ。冷暖房完備の屋内保管ということで、バイクの保管場所としては理想的な空間といえる

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ヨシムラ

地元鹿児島の仲間たちとツーリングに出かけ、カスタムも楽しむ。非常に充実したバイクライフを送っている福石さんは、理美容室の経営者だ。愛車のゼファー1100の保管場所は、なんと理美容室の店内だった。

夢と希望が膨らむ理美容と整備のコラボ

今回の登場人物、福石喜久郎さんと本誌は、この取材以前から交流があり、これまで仲間を数回取材してきた。福石さんは鹿児島に住んでいて、本誌が九州出張する際、福石さんに取材を相談することも多い。ただ、福石さんとはスケジュールが合わなく、仲間を取材する一方で、当の本人は取材できずにいた。

福石さんは理美容室を経営しつつ、カスタムされたゼファー1100に乗り、仲間と頻繁にツーリングに出かけている。このバイクライフを紹介しようと、かねてから取材を願い出ていた。ようやくスケジュールが合い、今年の初め、取材に至ったというわけだ。

カスタムする時にはプロショップに依頼しつつも、自分でも作業している。となると気になるのがバイクの保管状況と整備環境だ。

「それは店の中ですよ」

店の中とは、福石さんが経営する理美容室の店内のことである。保管を店内、整備を店内や店先で行なっているのだ。

理美容室の店内に入るとセットイスのすぐ横、入り口付近にバイクと工具が保管されていた。店内で整備することはあるが、オイル交換などケミカルのにおいが発生する作業は店先で行なっているという。

「たまに失敗したりするんですよ。タンクを外して、店内がガソリン臭くなってしまったり…。でも、お客にバイクのことは理解していただいていると思っています。バイクとは無縁のお客が多いですけど、バイクを置いていることに関してイヤな反応もされないですし、通い続けていただいている常連もいますので」

店頭はガラス張りのため、バイクが並ぶようすが道路からも確認できる。そのため、たまにバイクショップと間違われたり、「バイクを見せてください」と、偶然通りがかったバイク乗りが入店してきたりすることもあるそうだ。

そのような状況ゆえに、新たな人とのつながりが生まれることも多い。店内のバイクがキッカケとなってリターンしたり、二輪免許を取得したりするなど、新たな交流の話題はつきない。本誌Vol.132で掲載したGPz1100乗りの右田正美さんも、もともと福石さんのお客で、店内のバイクがキッカケでリターンした。また、本誌Vol.133の連載企画『姉御カワサキ』で紹介したゼファー750乗りの田代理恵さんは、かつて福石さんの理美容室のスタッフだった。

福石さんは右田さんや田代さんとともに、バカサキと名付けられたバイクチームに所属していて、頻繁に仲間とツーリングに出かけている。

「厳密な決まりはないんですけど、メンバーの多くがカスタムしていて、DIYで整備している人も多いですね。最初はカスタムしていなくても、バカサキに入るとだいたいがカスタムに感化されてしまうんですよ」

バカサキのメンバーは第3日曜日にツーリングに出かけていて、鹿児島ゆえに、桜島の火山灰が舞う方向によって行先を決めることもめずらしくないそうだ。このようにバイク仲間に囲まれて、理美容室を経営している福石さんは、今後のバイクライフに夢をふくらませる。

「もっと整備環境が充実した理美容室を作りたいんです。たとえばガソリンスタンドの跡地を使って、事務所で髪を切って、ピットは仲間たちに開放して整備スペースとして利用してもらったりね」

今後も福石さん周辺の話題はつきないようだ。

理美容室に広がるバイクライフ

理美容室の店内には、バイクや整備道具の他、バイクに関係したさまざまなアイテムが並んでいる。そのようすは店内に入ると一目瞭然で、お客との会話のネタにもなるという。バイクの話題がキッカケとなり、福石さんの店に通うようになった人もいるそうだ。

店内を入り口から見た光景

店内を入り口から見た光景。入ってすぐの場所にバイクが置かれ、かなりインパクトがある。「私、バイク乗りです!」という感であふれている

こちらはお客の待合スペース

こちらはお客の待合スペース。この日は福石さんの取材ということで、仲間が来店。テーブルの横には、バイク雑誌やバイク漫画がずらりと並ぶ

カワサキオリジナルグッズやパーツメーカーのエンブレム、パーツなどがディスプレイ

展示用アイテムとして、カワサキオリジナルグッズやパーツメーカーのエンブレム、パーツなどがディスプレイされている

理美容室の店内とは思えない光景

モチュールのペール缶の上には工具が置かれ、その横にはエンジンを保管。タイヤも並び、理美容室の店内とは思えない光景だ

知り合いが描いたカワサキ車
知り合いが描いたカワサキ車

知り合いが描いたカワサキ車。いずれのバイクも福石さんと仲間のバイクで、バイク保管場所や待合スペースなどにパネルに入れて展示されていた
福石喜久郎さん

鹿児島県出身。16歳の時に二輪免許を取得してZ400FXを購入したのがバイクライフの始まり。約10年前に現在所有するゼファー1100を手に入れ、カスタムを楽しんでいる。経営する理美容室は、美容と理容の両方の技術を有している

取材協力髪飛WAVE(ハッピーウェーブ)
住所鹿児島県鹿児島市吉野町3073-19
電話番号099-244-7822



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