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ヨシムラ

スポーツモデル譲りの鋭い走りと安定感が共存

2019年モデル Z250 高速道路走行

高速道路への合流では少しエンジンを引っ張り気味に加速する必要があるが、速度が乗ってしまえば問題ない。ニンジャ250と共通のフレーム&足まわりということもあって高速安定性も高い。意外とメーターバイザーによる整流効果が感じられ、一般的なネイキッドほど疲れない印象

高速道路を走り東北方面へ向かう。並列2気筒エンジンは軽やかに吹け上がり、車体をグイグイと進めていく。ボア・ストローク比など基本的な部分は2018年式のZ250と変わらないものの、大容量のエアクリーナーボックスやダウンドラフト構造の吸気経路、大径スロットルバルブの採用などにより全域でパワフルなエンジン特性になった。そのため追い越しなどをするとき、一定速度から加速するときの押し出し感はより力強く感じられる。中回転域から高回転までスムーズに吹け上がっていく印象だ。カワサキの並列2気筒エンジンの歴史はかなり長い。80年代のレーサーレプリカ時代も存在感はあったくらいだ。多気筒・超高回転化による馬力アップよりも実用域でトルクフルな特性のほうが市街地ではストレスなく走れる。それを知っているからこそのチョイスなのだが、時代の流れにあわせて着実に進化させているところがスゴイ。このパワフル感と扱いやすさの両立は一朝一夕でできるものではないと感じた。

カウルがないことが高速道路でデメリットになるかと思っていたが、実際はそれほどマイナスには感じなかった。ヘッドライトの上に設けられたメーターバイザーの効果だろうか。その上に手をかざしてみると、正面からあたった風が急激に上方へ向きを変えていることが感じられる。整流効果があるのだ。サーキットで全開走行するならともかく、高速道路を巡航しているならあまり不自由は感じない。事前に想定していたより疲れなかったというのが印象だ。

2019年モデル Z250 ワインディング走行

峠では250スポーツと同レベルの高い動力性能を、バーハンドルで操る快感が得られる。ライディングポジションの自由度が高いので、滑りやすい路面や見通しの悪いコーナーなどでも不安が少ない

一般道に降りてワインディングを目指す。Z250はスポーツモデルに匹敵するパフォーマンスを持っているだけに楽しみなのだ。山道に入りコーナーが増えてくると、軽快なハンドリング性能が武器になる。コーナーの奥に目を向けて内側のステップに軽く荷重すると、スッとバンクしながらノーズが向き、想定したラインをキレイになぞってくれる。それも単に動きが軽いだけじゃない。コーナーのアールにあわせたバンク角の調整や切り返し時の安定感などライダーの意思どおりに動いてくれる運動性能が好ましい。それにはバーハンドルによるアップライトなポジションとカウルレスによるマスの集中化が関係している。幅広い速度域でハンドルやステップに入力しやすく、フォームの自由度が大きいことが操りやすさにつながるのだ。そのため見通しが悪いコーナーでもすぐにリーンアウト体勢にでき、先の安全を確認しやすい。積極的なライディングをできるのがストリートファイター系の利点なのだが、それを見事に具現化している。250㏄ということもあって上り坂ではエンジンの中〜高回転域を使うことが多くなるのだが、それも“自分で一生懸命走らせている感”が得られてよい。

2019年モデル Z250 二人乗り走行

排気量の関係から二人乗りでの発進時は長めの半クラッチが必要。しかし一度走り出してしまえばサスペンションが踏ん張ってくれることもあって車体の安定性に問題は感じない

まとめ

どのシーンでも思い通りに走れて総合力が高いバイクという印象だが、1,000㎞走ると気になる部分も出てきた。ひとつは冒頭でも触れた敏感なフロントブレーキだ。ツーリング後半、少し疲れてきたときラフにブレーキレバーを握ると“ガクンッ”とフロントフォークが急激に沈むことがあったのだ。危険なほどではないが、急な挙動に一瞬焦ることも。ロングツーリングのためにも握り始めはもう少しマイルドでもよいのではないかと感じた。もうひとつはシートだ。700㎞をすぎたあたりからお尻の一部分が痛くなったのだ。前にニンジャ400で走ったときは感じなかった。ナゼか考えたところ、原因はポジションの違いではないかということに行き着いた。上体が起きるとシートにあたるお尻の位置が微妙に変わる。試しに上体を前に傾けて接地点を変えるとラクになった。それに気付いてからこまめに体勢をズラすことで無事に走りきった。走行距離が伸びるとライディングポジションの微妙な違いが影響することを改めて実感した。とはいえ個人差があり問題ない人もいるだろう。またオプションのエルゴフィットハイシートと交換すれば解決するかも知れない。そんなことも参考にしてもらえればと思う。

たそがれ度
2019年モデル Z250 たそがれ度

シャープなフェイスデザインは素直にカッコイイといえるもの。LEDヘッドライトやフルデジタルメーターなどに加え、フローティングディスクやスリッパークラッチなど走りを意識した装備が満載なのも所有欲を満たしてくれる

燃費
2019年モデル Z250 燃費

カワサキの250㏄並列2気筒エンジンは燃費がよいことに加え、燃料計の目盛りの最後のひとつが点滅してから完全になくなるまでの距離が長い。今回も点滅してからエンジンストップまで約105㎞走った。点滅しても焦らずにガソリンスタンドが探せるということだ

高速道路 27.91㎞/ℓ
一般道路 33.22㎞/ℓ
ガソリン満タン航続距離 465.1㎞

Z250(2019年モデル)

2019年モデル Z250

新世代のZ・スーパーネイキッドとして生まれた250㏄モデル。Z1000をはじめとしたZシリーズ共通の“Sugomi”スタイルを継承し、排気量を感じさせない存在感がある。走りの鋭さもスポーツモデルゆずりで、ルックスに負けていない

Z250の主なスペック
車名(通称名) Z250
マーケットコード ER250EKF
型式 2BK-EX250P
全長x全幅x全高 1,990mm×800mm×1,060mm
軸間距離 1,370mm
最低地上高 145mm
シート高 795mm
キャスター/トレール 24.5°/92mm
エンジン種類/弁方式 水冷4ストローク並列2気筒/DOHC4バルブ
総排気量 248cm³
内径x行程/圧縮比 62.0mm×41.2mm/ 11.6:1
最高出力 27kW(37PS)/12,500rpm
最大トルク 23N・m(2.3kgf・m)/10,500rpm
始動方式 セルフスターター
点火方式 バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 2.0L
燃料供給方式 フューエルインジェクション
トランスミッション形式 常噛6段リターン
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ 1速 2.769(36/13)
2速 1.894(36/19)
3速 1.500(33/22)
4速 1.240(31/25)
5速 1.074(29/27)
6速 0.960(24/25)
一次減速比 / 二次減速比 3.068(89/29)/2.857(40/14)
フレーム形式 トレリス
懸架方式 テレスコピック(インナーチューブ径41mm)
スイングアーム
ホイールトラベル 120mm
130mm
タイヤサイズ 110/70ZR17M/C (54H)
140/70ZR17M/C (66H)
ホイールサイズ 17M/C×MT3.00
17M/C×MT4.00
ブレーキ形式 シングルディスク 310mm(外径)
シングルディスク 220mm(外径)
ステアリングアングル
(左/右)
35°/ 35°
車両重量 164kg
燃料タンク容量 14L
乗車定員 2名
燃料消費率(km/L) 37.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
27.2㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)
最小回転半径 2.6m
カラー キャンディカーディナルレッド×メタリックフラットスパークブラック(RD1)
パールスターダストホワイト×メタリックスパークブラック(WT1)
メーカー希望小売価格 59万7,240円(税込み・当時)
発売日 2019年2月15日
問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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