2007 ZZR1400 インプレッション

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PR ヨシムラ

ZX-12Rと入れ替わるように登場したZZR1400。そして、カワサキは欧州における300km/h規制があるなかで、シッカリと最強の要素を盛り込んできている。コイツは勢いづいたカワサキが、さらなる地位を固めようと放った自信作だ。

高性能なバイクをうまくコントロールするには、心のブレーキが必要

2006年、ZX-12Rが生産終了となった。何ともさびしいかぎりだったが、カワサキはZX-12Rと入れ替わるようにラインナップに追加したZZR1400に、その進化した技術を見せつけてきた。そして、ZX-12Rが初登場した2000年とは時代背景も異なっている。それは上限300km/hの欧州における速度規制だ。これまで最速・最強をねらい続けてきたところもあったが、この規制に対して最高速度とは異なるどのような最強の称号を持ってくるのか? ZZR1400はそんな時代のなかでの登場だったともいえる。

この時代の流れに対しカワサキが持ってきた最強は、数値的なパワーによる加速感。そして大排気量をつらぬいたとも感じられる1400ccクラスの排気量。そして周囲を威圧するような、これぞカワサキと思えるようなフォルムだ。ただし、単に馬力や排気量など、数値だけに収まっていないのが技術の進化でもある。扱いやすい低回転域でのパワーフィーリング、そして高回転域での圧倒的な加速感、重量級の車体にもかかわらず軽快感のある車体。高い数値も技術の一つだろうが、こういった決して数値に表れない性能も技術の一つといえよう。

2007 ZZR1400 インプレッション

そしてこの技術は、何も突然変異的に表れたものではなく、正常進化と呼ぶに値するものである。それをもの語っているのが加速感だ。ZZR1400の加速感の特徴は、低回転から中回転にかけては非常にマイルドで、5000rpm以上の領域ではアクセル開度に合わせてリニアに加速していくこと。この特徴はインジェクションをうまく利用している効果だろう。低回転域ではあり余るパワーをインジェクションでうまく制御しているような感覚。そして、高回転域への加速力の境界線だが、通常強い加速感を持たせようと思ったら、極端な折れ線グラフ的にいきなりバイクが加速してしまう。ところがZZR1400の場合、加速力の変化をうまくつなげて、インジェクションの効果でフラットな特性に近付けている。この辺りは開発陣の努力が感じ取れる性能である。

2007 ZZR1400 インプレッション
威風堂々としたスタイルは、大いなる存在感を放っている。また、ZZR1400が発売されるころからモノトーンカラーも多く採用される
2007 ZZR1400 インプレッション
2007 ZZR1400 インプレッション
フロントとリヤで差別化を図っているようにも感じられるフォルム。流線形を基調としてフロントに対し、リヤは鋭角的な雰囲気に見受けられる

絶対的数値に表れない技術の正常進化を体感

ZX-12Rの場合、心して乗らないと痛いめにあいそうな、ある意味危険な加速力だったが、ZZR1400はその部分が少し薄れ、逆に扱いやすさが増しているといったところだ。ただし、勘違いしないでほしいのは、決してZZR1400の加速力が鈍いというのではない。シッカリとハンドルを握っていないとライダーが後ろにのけぞってしまうような強烈な加速力も十分にある。その加速力が、ジワッと作用するようなイメージだ。ZX-12Rがターボが作動するかのようなシャープな加速力とすれば、ZZR1400はパワーでグイグイ車体を前に押し出すようなイメージといえる。

また、あらためてZX-12Rと乗り比べて進化を感じたのが、コーナリング中の接地感だ。正直、ZX-12Rも接地感はあると思っていた。ただ、ZZR1400にすぐ乗り替えてコーナーを抜けてみると、その差は歴然だった。とくに1次旋回のフロントとリヤにかかる荷重が整っている。ブレーキをかけてフロント荷重になった状態で、コーナーのイン側に車体を寝かし込んだとき、ZZR1400はフロント荷重を維持したままリヤにもジワッと荷重がかかっていく。そして車体が安定したまま2次旋回に移行できる。

2007 ZZR1400 インプレッション

さらに、感覚的部分に触れると、ZX-12Rの場合、車体を寝かし込んだとき、なれていないと「あれ? このまま寝かし込んでも大丈夫かな…、タイヤがすべってしまうんじゃないかな…」といった感覚を覚え、フルバンクの一歩手前でライダーが身構えてしまうケースもある。反面、ZZR1400はその不安感がないまま車体を寝かし込ませることが可能だ。こういった点が安心感につながっていく。ZZR1400とZX-12Rは発売された時代が違うので、一概に両者を比較する対象としては並べられないが、技術の進化ということを述べるのであれば、コーナリングではこのような技術の差が表れている。

そして、この進化はフレームの進化でもある。ZX-12RとZZR1400はともにモノコックフレームを採用しているが、似て非なるもので、エンジンのマウント方法やフレーム自体も変更するなどして剛性を改良した結果の進化でもある。また、コーナリング性能の差は、サスペンションの進化の恩恵でもある。

サスペンションの改良は、ブレーキング時にも効果を発揮している。ブレーキング時には、サスペンションがうまく車体を安定させている。また、タイヤのグリップ感もシッカリとライダーに伝えてくれる。これらは、タイヤの路面追従性から得られる効果で、この性能もサスペンションの性能が上がっているからこそ発揮されるものといえる。

2007 ZZR1400 インプレッション
メタリックオーシャンブルー

このように扱いやすい車両なので、よく低回転域や中回転域のトルクを増やしてほしいという声をたまに聞くが、逆にこの部分はいじらない方がいい。低回転域がインジェクションで制御されているからこそ、コーナーの立ち上がりなどでトラクションコントロールに近い性能を出しているのであって、こういったコーナリング性能がZZR1400の強みでもある。また、この扱いやすさによって、ともすれば自分のライディングテクニックが上がったのかと思ってしまいがち。そういったとき乱雑にバイクを扱ってしまうが、うまく自分をコントロールする心のブレーキを持つことが必要。ZZR1400のような高性能なバイクを扱うときは、まずは自分を制御することも、うまく走らせるコツといえるだろう。

2007年モデル ZZR1400の主なスペック

全長×全幅×全高 2,170×760×1,170(㎜)
軸間距離 1,460㎜
シート高 800㎜
乾燥重量 220㎏[224㎏]
エンジン 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒・1,352㏄
ボア×ストローク 84×61(㎜)
最高出力 190㎰/9,500rpm・200㎰/9,500rpm(ラムエア加圧時)
最大トルク 15.7kg-m/7,500rpm
燃料タンク容量 22ℓ
タイヤサイズ (F)120/70-17(R)190/50-17
価格 149万1,000円[155万4,000円]

※[ ]内はABS仕様 ※価格はブライト参考小売価格(当時)

インプレッションライダー:鶴田竜二

1984年にレースデビュー。1990年に国際A級に昇格し、同年TT-F3クラスを駆りチャンピオンに輝いた。以降鈴鹿8耐や全日本ロードレースで活躍する。2001年にはトリックスターブランドを立ち上げ、オリジナルパーツを積極的に展開。現在は愛知県三河地方を広くカバーするバイク販売店の代表として忙しい日々を送る。
https://www.trickstar.jp




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