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ヨシムラ

長距離を走ることで見えてきた素顔

2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) ワインディング走行

軽量&スリムだからといって弱々しさを感じる場面は1つもなかった。アクセルやブレーキ、体重移動などを駆使しライダーが積極的に働きかけると、キレのある走りでこたえてくれる貴重な存在であると言えよう

次に目指すはワインディングロード。スポーツライディング好きは大幅に軽量化した新型の運動性能に注目しているはず。個人的にもかなり気になる部分なので、俄然気分が盛り上がってくる。

進入したのは初めて走る峠道。ツーリング先でよくあるシチュエーションである。見通しが効かないカーブに慎重にアプローチ。ブレーキング時によかったのはブレーキレバーのタッチ。にぎり始めの初期段階からディスクをはさむ感じが伝わってくるので、ねらったスピードまで不安なく減速することができる。リリースと同時にフロントフォークの反力を使いバンキング。車体が傾くスピードは早すぎず、遅すぎず。ライダーの意志に忠実な動きは好感が持てる。タイヤの接地感も得られるので、軽くアクセルを開けてトラクションをかけ続けるのも容易。カーブの出口が見えたら徐々にアクセルを開けていく。すると2気筒エンジンの爆発が後輪に伝わり、軽量な車体を想像以上のスピードで押し出していく。すぐに次のカーブが迫る。再び減速するとS字カーブを軽快に切り返し立ち上がる。その俊敏な動きに思わずニヤッとしてしまい、自然にペースが上がる。減速区間の短さと脱出速度の速さを活かすとリッターバイクにも引けを取らない走りができるのだ。いやストリートではこちらの方がアクセルを開けやすいので、爽快度がかなり高いことは保証しよう。

ちょっと気になったのは路面が荒れ気味のところでまれにタタンッ、と前後サスペンションが跳ねるような挙動を見せる場面があったこと。もちろん大きく姿勢を乱すほどではないが、それが解消できればさらによい乗り味になるはずという手ごたえもあった。

2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) 試乗インプレッション

見知らぬ土地で出会う壮大な景気は、心をつかんで離さない。こんな風景を堪能しながらワインディングを走ることができるのも、扱いやすい特性の並列2気筒エンジンのなせる技だ

峠道を堪能したあとで本日の宿に到着。初日で約500km走ったのだが、ここで懸念していたことが発生した。それはお尻の痛みだ。実は足着きのよさに貢献しているスリムなシートは前に行くほど細くなっている。なんとなくデュアルパーパスにも似た着座感だったので、長距離を走るとどうなのかと、少し気になっていた。ロングツーリング向けの肉厚なハイシートがあればヒザの負担も含め解消すると思うのだが。

1000kmを走り終え、短時間の試乗とは異なる印象をいくつも受けた。とくに印象に残ったのはツウ好みの乗り味を備えたライトウェイトマシンだということ。バイクを思いどおりに走らせられることの満足度はかなり高い。それを体感して以来、街で新型ニンジャ650を見かけると心のなかで「お主、わかっているな」とつぶやいてしまう。

ミラー後方視認性
2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) ミラー後方視認性

最近は外側下部がカットされていて、後ろの近くが見にくい異型バックミラーなども存在するが、ニンジャ650のミラーはそんなことはない。フルカウルのわりにライダー自身の映り込みも少なめで、視界も十分に確保されている印象だ。走行時のブレも少なく夜間走行でも不安を感じなかった

引き起こし
2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) 引き起こし

軽さがウリなので、引き起こしもミドルバイクに近いレベルで行なえる。万一倒してもリカバリーはすばやくできるはず。しかし、いくら軽いとはいえ倒すとフルカウルだけにダメージは大きい。軽さと足着きのよさを最大限に活かして倒さないようにしたい

シート快適性
2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) シート快適性

幅が細くクッションが薄めなので500kmほど走るとお尻が痛くなってしまった。またステップとの位置関係が近くなり、ヒザの曲がりがキツめで疲れも予想より早く出た。足着きはいいのだが…。個人的にいま一つマッチしなかった部分になってしまった

燃費
2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) 燃費

今回もガソリン満タンから空になるまで走ったが、燃料計の最後の1目盛りが点滅をはじめてから完全に停まる(=空)まで178kmほど走った。ガソリンが減ってきたら早めに入れるに越したことはないが、点滅してからでもそれなりに走れるので、落ち着いて対処したい

高速道路 25.7km/ℓ
一般道路 22.67km/ℓ
ガソリン満タン航続距離 340.1km
たそがれ度
2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA) たそがれ度

大型バイクのカテゴリーではあるが、車体がコンパクトになったため誰もが振り向くような“迫力”や“重量感”は薄い。だがニンジャ650の本当の魅力は“削ぎ落とし、凝縮されたパワー感”である。それを知っているのは自分を含めたごく一部の“ツウ”だけ。そんな満足感に浸れる

2018年モデル Ninja 650(EX650KJFA)

ヘッドライト下にチンスポイラーを備えた、現行ニンジャシリーズ共通イメージのスポーティなフルカウルを採用。先代から継承する並列2気筒エンジンは、低中速回転域で力強い加速と高いレスポンスを発揮。完全新設計のトレリスフレームはコンパクトにまとまり大幅な軽量化を実現した。新設計のホイールや湾曲したスイングアームなどにより軽快なハンドリングを実現している。

主なスペック

全長×全幅×全高 2,055×740×1,135(mm)
軸間距離 1,410mm
シート高 790mm
車両重量 193kg
エンジン 水冷 4ストロークDOHC 4バルブ並列2気筒・649cm3
ボア×ストローク 83.0×60.0(mm)
最高出力 50kw(68ps)/8,000rpm
最大トルク 65N・m(6.6kgf・m)/6,500rpm
燃料タンク容量 15ℓ
タイヤサイズ (F)120/70–17(R)160/60–17
価格 80万7,840円(税8%込)/82万9,440円(KRT Edition・税8%込)

[Ninja 650 ABS]よりスポーティなスタイルに生まれ変わった2017年モデルが登場

問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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