ヨシムラ
Z1の登場から10年。カワサキが新たなテクノロジーを結集させ誕生したフラッグシップ。その圧倒的な存在感と運動性能はまたたく間に世界を手中に収めた。そして30年以上時を経た今もなお、一線級の魅力を放ちながらストリートを駆け抜けていく。
卓越した性能とルックスはライバル不在で、またたく間に世界中のライダーを魅了していった
Z1を誕生させ、70年代のバイクシーンにおいて大成功を手にしたカワサキだったが、あらゆるテクノロジーが劇的に進化していく時代にあって、Zの栄光にいつまでも頼っていられないことは、カワサキ自身がよく把握していた。
そうしたなか、80年代目前の1979年、次世代をになうまったく新しいマシンの開発は始まった。コード・ナンバー990。かつてZ1を作り上げ、市場に衝撃を与えたカワサキにとって、この990はその衝撃を超えた存在でなければならない、ということが、暗黙のうちに宿命づけられていた。とくに心臓部であるエンジンに関しては、あらゆる点で概念を打ち消す努力が図られた。その結果、長年こだわり続けた2バルブへの固執を捨て、初めて4バルブを採用し、同時に空冷も廃止。最終的に開発陣は“水冷4バルブ4気筒こそが新時代を担う真の最速ユニット”と決断したのだった。
当然、エンジン以外にも空力、フレーム、足まわりへと新技術が続々と投入され、1983年、ついに新型マシンが完成する。そのカワサキこん身のマシンはGPZ900R“ニンジャ”と名付けられた。
そして、1984年デビュー。この独創的なスタイルに最速の走りを有したニンジャは、すべてにおいてライバル不在であり、世界中のライダーをとりこにし、各国でバイク・オブ・ザ・イヤーを手中に収めた。同年、兄弟機GPZ750Rも登場。スペックこそ空冷GPz750Fと大差ないものであったが、実測で230km/hをクリアする世界最速のナナハンはニンジャの基本性能がいかにすぐれていたかを示している。
いずれにせよ、その斬新なスタイリングと高い動力性能をかねそなえたニンジャはライダーたちの圧倒的な支持に支えられ、マイナーチェンジを重ね、なんと20年ものロングセラーをほこるマシンとなったのである。リッタークラスのスポーツバイクでこんなマシンは、地球上でニンジャをおいて他には存在しないだろう。
1984 GPZ900R
1985 GPZ750R
GPZ900R&750Rが発売になった1984年(昭和59年)の出来事
怪人21面相のグリコ・森永事件/“ロス疑惑”で報道合戦過熱/“投資ジャーナル”グループ摘発/植村直己マッキンリーで消息絶つ/流行語“まる金”“まるビ”/映画「インディ・ジョーンズ」「麻雀放浪記」「風の谷のナウシカ」「瀬戸内少年野球団」放映/紅白歌合戦で都はるみが「普通のおばさんになりたい」と引退
マシンギャラリー
「GPZ900R/GPZ750R」のスペック一覧
1984 GPZ900R | |
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全長×全幅×全高 | 2,200×750×1,215(mm) |
軸間距離 | 1,495mm |
車重 | 228kg |
エンジン形式 | 水冷4ストローク4気筒 DOHC4バルブ |
エンジン排気量 | 908cc |
ボア×ストローク | 72.5×55.0(mm) |
圧縮比 | 11.0 |
最高出力 | 115ps/9,500rpm |
最大トルク | 8.7kg-m/8,500rpm |
キャブレター形式 | CVK34 |
変速機型式 | 6段リターン |
オイルタンク容量 | 4.0ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/80-16 (R)130/80-18 |
燃料タンク容量 | 22.0ℓ |
サスペンション | (F)φ38mm(AVDS付) (R)ユニトラック |
ブレーキ | (F)φ280mm 1ポット (R)φ270mm 1ポット |
1985 GPZ750R | |
全長×全幅×全高 | 2,185×775×1,215(mm) |
軸間距離 | 1,500mm |
車重 | 228kg |
エンジン形式 | 水冷4ストローク4気筒 DOHC4バルブ |
エンジン排気量 | 748cc |
ボア×ストローク | 70.0×48.6(mm) |
圧縮比 | 10.5 |
最高出力 | 77ps/9,000rpm |
最大トルク | 6.5kg-m/7,000rpm |
キャブレター形式 | CVK32 |
変速機型式 | 6段リターン |
オイルタンク容量 | 4.0ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/80-16 (R)130/80-18 |
燃料タンク容量 | 22.0ℓ |
サスペンション | (F)φ38mm(AVDS付) (R)ユニトラック |
ブレーキ | (F)φ246mm 1ポット (R)φ236mm 1ポット |