ヨシムラ
最高出力190ps。驚異的なスペックを持って登場したZZR1400。この数値はまぎれもなく最強の称号を証明している。だが、このマシンにはスペックには現れないもう一つの魅力があった。
高出力の奥に秘めたライダー本位の走行性
まるで宿命かのように最強というものを求められるカワサキのスポーツモデルたち。それは馬力や速度など、フラッグシップと呼ばれるカワサキのモデルはその時代の最強を目指して送り出されてきた。そして、2005年の東京モーターショーでカワサキは新しいフラッグシップモデルを発表。それは市販車両として、今春からストリートを走ることになる。最強という称号を引き継ぎ、最高出力190psという驚異的なスペックを持って現れたモンスターマシン。それがZZR1400だ。
なんてライダーの意志に従順なんだろう…。これが第1印象だった。馬力やフォルムだけを見ると、ついつい肩を張ってしまう感もあったが、そんな余分な力は乗った瞬間に吹き飛んでしまった。操舵性の軽さ、前後の荷重バランス、そして低回転域でのエンジンの扱いやすさなど、どれを取ってもライダー本位という言葉がよく当てはまる。それでいて、スロットルをひとたび回せばどこまでも2次曲線的に加速してくれる。
中でも、あらゆる場面で効果を発揮するのが前後の荷重バランスの安定性だ。たとえばブレーキング時。普通、前のめりになるイメージがあるが、フロントとリヤの両方が沈む。それでいてフロントタイヤにしっかりとトラクションがかかっているため、確実かつ安定した制動力が得られる。それでもフルブレーキング時、リヤは伸び上がるが、フロントは着実に路面に押さえつけられているので車体は安定して不安感はない。
![2006 ZZR1400(ZX1400A) 左側](https://www.kawasaki1ban.com/wp-content/uploads/2019/03/2006-zzr1400-zx1400a-impression_14-580x385.jpg)
全体的に低く構えた印象があるZZR1400のボディワーク。また、モノコックフレームを作用したことにより、フレームがカウルに覆われた一体感のあるスタイリングとなっている。サイドにはフロントからリヤにかけて直線的なデザインがほどこされ、スピード感を演出