1968 650-W1スペシャル(W1S)

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1960年に生まれたメグロK1を、1964年に目黒製作所からカワサキが引き継ぎ、1966年にW1に発展させたことでカワサキのビッグバイクヒストリーは始まる。強くてデカいというカワサキイメージの原点はここにある。

今は望むべくもないこの鼓動感とトルク感

もう、エンジンを始動しただけでワクワクしてくる。このキャブトンマフラーから発せられるサウンドは強烈で、豪快な音量もさることながら歯切れがよい。どう考えても、現在の騒音規制に合致しそうにはない。

走り出しても、エンジンからの鼓動感やトルク感は、マシンばかりかライダーの全身を身震いさせる。これがおもしろくないわけがない。

ハンドリングにヨレが発生しても、リヤに荷重してスロットルを開ければ収まる。バイクはスロットルとケツで乗るものと教えてくれる。カワサキ乗りの原点、ここにありである。おかげで、尻にトラクションとエンジンの鼓動を目一杯感じることができ、エンジンの存在感も高まる。

その時、4,000rpmからトルクピーク5,500rpmにかけてのトルクの立ち上がり感が、もう最高だ。トルク感を大切にするカワサキエンジンの原点もここに見る思いだ。それでいて、これは7,500rpmからがレッドゾーンなのだから、愉快であっても、何とのどかなことか。いい時代である。

ただ、この強烈な鼓動感は、当時からハイウェイが整っていたアメリカでは、日本よりも高速での走行が可能なため、振動によるトラブルを引き起こし、W1Sは米国市場からの撤退を余儀なくされたという。

こうしたことがカワサキにとって教訓になったことも含め、このW1Sはカワサキの先駆車なのだ。

1968 650-W1スペシャル(W1S)
W1は、カワサキに吸収合併されたメグロK1(BSAのA7が基本)の496ccから624ccにボアアップし登場。1968年にツインキャブレターのW1Sに発展した
1968 650-W1スペシャル(W1S)
エンジンは、目黒製作所がBSAのA7を参考に設計したK1が基本。それをベースにボアアップしたのがW1で、ツインキャブ化したのがW1Sだ
1968 650-W1スペシャル(W1S) キャブトンマフラー
通称“キャブトン”と呼ばれたマフラー。かつてのみずほ製作所のキャブトンが、この形状のマフラーを装着していたことから、こう呼ばれるようになった
1968 650-W1スペシャル(W1S) ステップ
右チェンジ、左ブレーキは、英国車に由来。一般的な左チェンジになるのは、1971年のW1SAから。シフトの5アップ式は、当時のカワサキ車に準じている

主なスペック

全長×全幅×全高 2135×865×1100(mm)
軸間距離 1420mm
シート高
車両重量 220kg
エンジン 空冷4ストロークOHV2バルブ2気筒・624cc
ボア×ストローク 74×72.6(mm)
最高出力 47ps/7,000rpm
最大トルク 5.4kg-m/5,500rpm
圧縮比 9.0
燃料タンク容量 15L
変速機 4速リターン
タイヤサイズ (F)3.25-19 (R)4.00-18
価格 33万8,000円(発売当時)
和歌山 利宏

バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。




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