カワサキのエンジン

戦後の復興期は、歯車やトランスミッション製造も請け負うエンジン供給メーカーだったカワサキ。以降、二輪メーカーとしての道を歩むうえで、カワサキはエポックメイキングなエンジンを生み出し続けた。

カワサキらしい最強エンジン、Ninja ZX-14Rのメカニズムとフィーリングとは?

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ヨシムラ

Ninja ZX-14RのベースとなるZZR1400は、2005年のパリショーにおいて発表された。二輪の量産並列4気筒としては世界最大排気量を誇るエンジンは190㎰を発揮。最大にして最強でなくてはいけないというカワサキの意地を感じさせた。

Ninja ZX-14Rのエンジンメカニズム

カワサキは、インラインフォーこそがスーパースポーツにとって最適のエンジンであると位置付け、フラッグシップとして最強であることに加え、実用性までを踏まえた最善のエンジンとして、ZZR1400のインラインフォーユニットを開発した。そして、2012年型Ninja ZX-14Rではストロークアップによる排気量拡大、高圧縮化、バルブリフト量拡大などによって、最高出力を200㎰に高めるだけでなく、低中回転域におけるドライバビリティを大きく改善。最強にして最善のインラインフォーとして定評を得ている。

2012年の大刷新によって見事に完成度を高めた

ZZR1400は2006年、ZX-12Rに代わるフラッグシップとして登場した。排気量を当時のカワサキロードスポーツでは最大となる1,352㏄としながら、主要3軸を3角形配置するなどで、エンジン外寸はZX-12R以下に抑えられた。

2軸2次バランサーを採用し(ZX-12Rは1軸)、低振動化による快適性を実現。スロットル径は、ZX-12Rのφ46㎜に対しφ44㎜とし、扱いやすさ重視の特性とした。

Ninja ZX-14Rのボア×ストロークはφ84×61㎜で、ZX-12Rよりもロングストロークながら、スーパースポーツのNinja ZX-10Rよりもショートストロークで、絶対出力を追求するねらいも感じられた。実際、全域がトルクフルで扱いやすくも、6,000rpm以上での怒涛のトルクも魅力であった。

そして、2012年型の大刷新によってさらに完成度を高め、フラッグシップに相応しい名声を博することになる。ストロークを4㎜大きくして排気量を拡大。それに合わせてコンロッド長を3㎜延長し、クランクジャーナルを大径化。カムプロフィールなどにも改良は及び、新たにシリンダー間にバイパスを設けてポンピングロスも軽減。ピストンクーラーも新設された。

Ninja ZX-14Rのラムエア流路

ラムエアシステムは、吸気ダクトから導入する新気に走行風によるラム圧(動圧)を掛けてエアクリーナーボックスに押し込み、酸素密度の高い新気を吸入させ、高性能化を図るもので、80年代後半期以降の高性能車に多く採用されてきた。Ninja ZX-14Rの最高出力は200㎰だが、それはラム圧の加圧なしのものであり、実際に加圧された状態では210㎰を発揮するという。

Ninja ZX-14R系エンジンの変遷

ZZR1400が2006年に登場した後、2007年にはツアラータイプの1400GTRという派生モデルが加わった。1400GTRは、エンジンが単に流用されたのではなく、ZZR1400の基本と技術フィロソフィーを受け継ぐも、シャフトドライブ化され、パワーソース部などの多くが専用設計されたモノであった。そして、Ninja ZX-14Rではストロークアップによる排気量拡大を受けるなど、大きく刷新されてきた。

Ninja ZX-14Rのエンジンフィーリング

Ninja ZX-14Rの走り

怒涛のトルクを発揮しながらも、洗練され、高度な扱いやすさを備えるNinja ZX-14Rの秘密を探ると、さまざまな要因が絡み合ったものだと気が付く。排気量拡大に加え、高圧縮化やバルブリフト量アップ、ポンピングロス低減などでトルクアップされても、カワサキの4気筒としてはロングストローク傾向のため、低中回転域で流速が高く、スロットルワークにキメ細かく反応。そればかりか、電子制御の進歩も著しく、とくにサブスロットルバルブによって実開度が最適化されているのか、レスポンスはスムーズで、トルクの出方にもリニアリティがたもたれている。これは恐るべき完成形と評していいだろう。

怒涛のトルク感もとにかく乗って快適

低回転域はもちろん中回転域のトルクは豊かで、ワインディングを攻めても、タコメーターの針が5,000rpm近くにあればトルクフルそのものである。その中回転域を使ってスポーツできるのだ。そして、そのまま高回転域に向かって膨れ上がっていく、なだらかで強大なトルクカーブの山を満喫できる。

ZZR1400だとやや高回転型の印象も否めなかったが、Ninja ZX-14Rはまさに全域パワーバンド。これこそ本当の意味で超高性能だろう。絶対馬力が最強なだけでなく、どんな状況からでも底力を取り出せて、怒涛の加速性能を発揮できるからだ。

また、トルクフルになっただけでなく、スロットル操作に対して繋がりがよく、電子制御も含めた進歩を実感させられる。

サブスロットルバルブ採用の恩恵も大きいと思われ、フルパワーモードでスロットルをラフに開いても、ドッカーン!と来ることはない。バイクにしがみ付いてダッシュしていくといった荒馬ではないのだ。

スロットルワークで糸を引くように、まるで動物が腰を落として地面を蹴り出すようなリズムで走れる。あくまでもジェントルでやさしい力持ちのイメージなのである。

バイクとは、エンジンと車体の性能が絡み合って、トータルバランスを高めていくものである。その意味でも、Ninja ZX-14Rは高次元化されていると言っていい。

問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
和歌山 利宏

バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。




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