カワサキのエンジン

戦後の復興期は、歯車やトランスミッション製造も請け負うエンジン供給メーカーだったカワサキ。以降、二輪メーカーとしての道を歩むうえで、カワサキはエポックメイキングなエンジンを生み出し続けた。

過給によって魅力が深化。スーパーチャージドエンジンの乗り味を検証

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ヨシムラ

タービンによって新気を高い圧力で燃焼室に送り込むスーパーチャージドエンジン。現在の技術によって、スロットルレスポンスやトルクの出方のリニアリティが高まり、欲しいトルクを欲しいだけ、どこからでも取り出せるという魅力を獲得している。

独自の魅力を獲得したスーパーチャージャー

ニンジャH2に初めて乗ったのは、2015年春の愛知県・スパ西浦モーターパークでのことであった。スーパーチャージドエンジンを搭載したハイパーマシンだけに、好奇心が高まるだけでなく、久々に緊張感に襲われた試乗だったことを思い出す。

さぞかしノドがカラカラになっての走りになるかと思いきや、心地よく快適な気分で試乗を終えたことが意外でもあった。とはいえ、タービンの回転による過給によって、高い圧力で空気を送り込むだけに、自然吸気エンジンにある、スロットルワークに糸を引くようなスムーズなレスポンスからは遠い。同じ過給であっても、排気でタービンを回すターボチャージと比べればタイムラグも少ない一方で、過給圧の高まりによって、スロットルレスポンスがシビアになっていた。

でも、スーパースポーツなら1速で走るコーナーも、3速でこなせるほど低速トルクが豊かなうえに、スロットルを開ければ、欲しいトルクを欲しいだけ取り出すことができる。トルクの出方に唐突さがないわけではないが、トルクの出方にリニアリティな一面があるので、マシンに乗せられることなく、自身が積極的に操作すれば、むしろ楽しめる。

コーナーの立ち上がりで、欲しいトルクカーブを自分のスロットルワークいかんで作り出せるわけで、究極のスポーツ性を備えているともいえよう。速度を落として車体の向きを変え、一気に怒涛の加速をすることもでき、走りの自由度は高く、創造性に富んでいる。

パワー型スーパーチャージドエンジン[Ninja H2・Ninja H2R]

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過給化が異次元の走りを実現

ニンジャH2の走りは、異次元のものとなっている。メガスポーツをしのぐ動力性能と、スーパースポーツのハンドリングの融合形と表現して差し支えない。そればかりか、車両に自分を合わせるのではなく、自分が走りを創造していけるという可能性を秘めており、スポーツ性が高い。また、その動力性能に興奮を覚えても、その一方で冷静さをたもっていられるのが、ニンジャH2の真髄かもしれない。

ニンジャH2の誕生から3年たった2018年、バランス型スーパーチャージドエンジンを搭載したスポーツツアラータイプのニンジャH2 SXが登場した。このモデルには新たなキャラクターが備わっていた。スロットルレスポンスもトルクの出方もスムーズになっていて、スパルタンさは一掃され、ツアラーにふさわしい寛容なエンジンとなっていたのだ。これなら、ただ走りに集中するのではなく、余裕を持って周囲の状況を満喫できると思ったものである。

この変化に関して私は、性能を落とすことでマイルドさを獲得していたのではないかと思っていたのだが、それは間違っていたようだ。

2019年型のニンジャH2カーボンはバランス型スーパーチャージドエンジンが採用され、最高出力が231㎰に高められながら、ニンジャH2 SXに匹敵するスムーズさを備えていた。しかも、試乗時の路面がウェットであったにもかかわらず、コントロール性になんら問題を感じさせなかったのである。

エンジンにはニンジャH2 SXの技術が採用されており、カワサキのスーパーチャージドエンジンの進化ぶりを実感させられることになった。スーパーチャージドエンジン搭載モデルは、自然吸気のリッタークラスを超越する動力性能を、リッタークラスに近い車格にパッケージングし、自然吸気エンジンにはない魅力を確固たるものにしている。

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格段の進化を実感させるバランス型

ツアラータイプとして2018年に追加されたニンジャH2 SXは、燃費とパワーを両立させることを目的として、バランス型と呼ぶスーパーチャージドエンジンを搭載する。最高出力は初代ニンジャH2と同じ200㎰を発揮しているが、スロットルレスポンスやトルクの出方のスムーズさが格段に向上した。さらに2019年型ニンジャH2カーボンには、ニンジャH2 SXのバランス型スーパーチャージドエンジンの技術が落とし込まれ、アルミ製吸気チャンバーにディフューザーを設置、吸気のスムーズ化が図られ、231㎰を発揮するに留まらず、ニンジャH2 SXゆずりの扱いやすさが実現されている。また2020年にはZシリーズにZ H2が加わった。

問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
和歌山 利宏

バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。




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