空冷の常識を超えた回り方／ZEPHYRχ(2008)

しなやかさを維持した乗り方こそゼファーχにフィットする

ブレーキはきっちり効く。とりわけフロントの節度と効力はシャープ。指一本でいかようにも速度調整できるし、前輪荷重調整がコーナリング中にできる。低重心な作りと相まって、だからこそゼファーχはワインディングで楽しいのである。

楽しいライディングを支えている別の理由はコンパクトなライディングポジションとしなやかさを併せ持つ車体設定にある。幅と高さとしぼり角が絶妙なハンドルでステア入力がやりやすいだけでなく、ステップへの入力もダイレクトに反応する味付け。水冷ZRXを持つカワサキとしては、ゼファーとZRXについて明らかに異なる味付けとすることが優先すべき課題であったに違いない。

操舵レスポンスが鋭いだけにライダーは過度の緊張をさけて積極的にハンドルへの力を抜くように意識したい。しなやかさを維持した乗り方こそゼファーχにフィットする。

スローな走りでもこれは同じ。上体の力を抜いてスロットル操作も穏やかに。そうすれば一体感の高い空冷エンジンの魅力が堪能できる。

ゼファーがベストセラーに輝いたのは高性能レーサーレプリカの反動作用と考えやすいが、実はそうではない。あらゆる速度域で退屈しない作り込みにあったのだ。ゼファーχはその正常進化型なのである。

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