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ヨシムラ

環境の変化にも対応するタフなスーパーチャージド・ツアラー

高速道路もウェットである。ハイスピードで走るには緊張感がともなう状況だ。しかしNinja H2 SX SEは濡れた路面など関係ないといった風情で安定しながら加速していく。前後タイヤの接地感もしっかりと伝わってきて、車線変更もスムーズに行なえる。とにかくあらゆる速度域でライダーに不安を感じさせないのだ。

そこで試しにギヤを落としスーパーチャージャーの効果が明確に感じられる回転域まで上げてみる。すると過給機エンジン特有のトルクの伸びを見せながら車速が上がっていく。交通量が多かったこともあり、そこそこでやめておいたが、雨中の高速でも羽ばたくような爽快な加速感と、ツアラーらしい安心感を体験することができた。

過去にも何度かNinja H2 SX SEを試乗したことがある。それは晴れた日、距離も100kmそこそこだ。今回のように、2日で1000kmを走るのは初めてのことだ。しかも、今回はスタートが“冬の雨”という決してよいコンディションではなかったので、期せずして旅の前半で季節や気候を問わず走る、タフなロングツアラーの素質が確実に備わっていることを実感することができた。

2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) 試乗インプレッション

大型スクリーンがライダーへの風圧を大幅に減らしてくれる。直進安定性は高く、スーパーチャージャーの能力が発揮される回転域での強烈な加速シーンでも、車体が不用意に振られることはない

ツアラーとしての実力も十分。頼もしい旅のパートナー

高速道路を走っていると天気予報が当たり天候が回復してきた。しかし、路面は濡れたところと乾いたところが両方ある不安定な状況。そんな時でも不自然な挙動を起こさないのは、電子制御システムが影で活躍しているからだろう。

その恩恵は高速道路を降りてワインディングロードに入ってからも続く。LEDコーナーリングライトの撮影をするため、街灯のない峠道を走ったときだ。ヘッドライトの明かりのなかに現れる路面は、雨の影響でところどころ濡れている状態。先が見えないタイトコーナーではストレスがたまる。そんな路面状況でも車体の動きは安定していて、コーナーリングアングルが乱れることがなかった。

2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) ワインディング走行

ハンドリングは安定志向で、操作に対して忠実に反応しバンクしていく印象。とはいえ鈍重さはなく、バンク中にラインを自由に変えられるだけのフットワークも兼ね備えている

ライディングポジション
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) ライディングポジション

セパレートハンドルはやや高めにセットされていてリラックスできる軽い前傾姿勢となる。ハンドルまでの距離も遠すぎず車体がコンパクトに感じる。シートとステップの位置関係もよいので1,000km走っても疲れ知らず。リヤシートの居住性も高くタンデムツーリングもラクにこなせる(身長:166cm 体重:70kg)

2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) 二人乗り

2名乗車時

ミラー後方視認性
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) ミラー後方視認性

ミラーはやや低めの位置にセットされているが、鏡面の面積は大きく後方視認性は高い。また、剛性も高く空力を配慮した形状でもあるので、高速道路を走行中もブレることがなく、後方をハッキリと確認することができる

取りまわし
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) 取り回し

リッターバイクとしては標準的なサイズだが、ハンドル位置が高めなのでスーパースポーツよりも取りまわしやすい。マスが集中しているため重さもあまり意識しないですむ。ハンドル切れ角は左右各30度。もう少しあってもよさそうだ

グラブバー
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) グラブバー

ガッチリとした大型のグラブバーを左右に備える。しっかりとつかめる太さなので十分に姿勢を安定させることができる。また、このグラブバーはパニアケースのマウントも兼ねていて、一体感のあるスタイリングと強固かつ容易な着脱を両立している

引き起こし
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) 引き起こし

リッターツアラーとしてはコンパクトにまとまっているので、大きさからくる威圧感は感じない。しかし、メカニズムが凝縮された車体は意外と重く、引き起こしにはそれなりの力が必要。倒さないよう慎重に取りまわしたい

乗り降り
2018年モデル Ninja H2 SX SE(ZX1002BJF) 乗り降り

写真ではタンデムシートがやや高く見えるが、乗り降りに影響するほどではなく一般的なリッターバイクと変わらない。このバイクの性格上、オプションのパニアケースを取り付けた場合は足の動線を考慮する必要が生じるだろう

問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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