1988ZX-10

超高速に、抜群の運動性能がプラス。そのコントロールのしやすさが新時代のフラッグシップの指標に。

名車列伝

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Photo by Daisuke Takeda

84年、再びニンジャ900Rから始まった正常進化ストーリーはRXを経て、88年に大きな進化を遂げることとなる。しかし、それは最速であり続けるための途上であり、さらなる極限値に到達するための大きな一歩であった。

“フラッグシップ”というものの境地をさらに高めるに

GPZ900Rの出現からわずか2年後の86年、カワサキは新たなる最速マシンGPZ1000RXを登場させた。しかし、最速スーパースポーツとロングツアラー的要素の両方を兼ねそなえ“フラッグシップ”というものの境地をさらに高めるには、1000RXはポテンシャル的にはまだまだ発展の余地があり、フレーム、足まわり、エンジンなどすべてにおいてトータル的なリファインが必要とされていた。そして、開発陣は間髪入れずさらなる技術を駆使し、新型モデルの開発に取りかかった。

なかでもエンジンは大幅に見直され、シリンダーヘッド部に改良をほどこし、吸気ポートのストレート化や圧縮比のアップ、キャブレターはダウンドラフト型を採用。パワー増大にともないクランクまわりなども新しく強化された。フレームはe-BOXフレームと名付けられたアルミのツインチューブを採用し、高剛性と軽量化を両立。カウリングはフラッシュサーフェイス化され、より曲面を多用した形は初代ニンジャとは似ても似つかない近代的なスタイリングとなった。

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超高速に、抜群の運動性能がプラスされた新開発ユニット

こうして、あらゆる点が見直され88年に登場したのが、ZX-10であった。別モノのように生まれ変わったマシンは、もはや前モデルの延長線上というよりも新開発ユニットであり、叩き出した数値は、最高出力137ps、最大トルク10.5kg-m、最高速度270km/h、ゼロヨン10.5秒と、まさに最強・最速のレコードであり、そのスペックは現代でも通用するレベルに達したといえるものだった。

カワサキにとって900Rから1000RXの流れのなかでつかんだ新時代の方向性である“最速であり快適”といったフラッグシップとしての資質を、より明確に具現化したのがZX-10だったのである。

GPZ900R、GPZ1000RXを経て誕生したZX-10。現代から当時を振り返って見てしまうと、どうしても新時代への“つなぎ的1台”に見られてしまうが、大幅に見直されたエンジン、フレーム、足まわりなど、ほとんどが新設計といえるほどのものであり、車体もこうしてみると大柄だが1000RXよりも10kg以上も軽く、すぐれた動力性能で軽快な動きを実現している。

このZX-10の出現は、それまで夢の数字でしかなかった時速300km/hという数値への到達が、そう遠くないところまで訪れている。と、いうことを予感させるのに十分なものでもあった。

ZX-10が発売になった1988年(昭和63年)の出来事

東京の地価前年比68.6%上昇/リクルート疑惑発覚/“ふるさと創生”で1億円配布/昭和天皇の容態悪化で各種行事が自粛ムードに/青函トンネル開通/世界最長の道路・鉄道併用の瀬戸大橋開通/喫煙者“ほたる族”登場/雑誌「Hanako」創刊/横綱千代の富士53連勝達成/「3時のあなた」終了/映画「となりのトトロ」「ラストエンペラー」「噛む女」上映/流行語・マスオさん・ペレストロイカ

とじる


  • 1000RXのフォルムを継承し、よりウインドプロテクションの機能を高めたのがZX-10のカウルだ
  • φ41mm・ストローク135mmのフロントフォーク。ZX-10ではそれまで装着されていたANDF(アンチノーズダイブフォーク)を廃止。フレーム同様にZX-7から得たノウハウを足まわりにフィードバックした。またリヤも119mmストロークのユニトラックを装着。走破性が各段に向上した
  • メーターパネルの基本レイアウトは1000RXを継承しているが、ZX-10で、ついにスピードメーター数値が300km/hに到達。もはや夢の数値が目の前にあることを予感させていた
  • ホイールはフロントが17インチでリヤが18インチ。前後ともタイヤはラジアル化された。これはパワーアップに対する大きな安心材料であった。フロントブレーキはφ300mmローターをホイールハブに直接装着するタイプでキャリパーは異径ピンスライド2ポットの片押しタイプ
  • ホイールはフロントが17インチでリヤが18インチ。前後ともタイヤはラジアル化された。これはパワーアップに対する大きな安心材料であった。リヤまわりはスイングアームやエキセントリックアジャスターなど1000RXを継承しているが、リヤブレーキのマウントはフローティングタイプに変更となった
  • もっとも改良されたエンジン。ピストンは15g軽量化され、ロッカーアームは従来の二股型から独立型へと変更。1000RXと同じボア・ストロークながら、圧縮比は10.2から11.0へと高められた。また点火方式がトランジスタからデジタル進角方式になるなど、ミッション系以外のすべてが作り直された。まさにカワサキこだわりのモディファイであった
  • 可変式のグラブバーにバックを固定しやすい荷掛け用フック、さらに工具やちょっとした小物を収納できるスペースをアッパーカウル部分とテールカウル部分に確保するなど、ツアラーとしての細かな配慮がなされているのも大きな特徴だ
  • 可変式のグラブバーにバックを固定しやすい荷掛け用フック、さらに工具やちょっとした小物を収納できるスペースをアッパーカウル部分とテールカウル部分に確保するなど、ツアラーとしての細かな配慮がなされているのも大きな特徴だ
  • レーサーのZX-7でつちかったノウハウを活かしつつ、完全新設計となる極太のアルミ製ツインチューブフレーム・e-BOXを採用。1000RXよりも4.5㎏の軽量化が図られ、なおかつハイスピードでの不安要素であった剛性面もこれで一気に解消となった
  • サイレンサーは1000RXのシルバーからブラックメッキになり、ぐっと引き締まったイメージだ。サウンドも大きすぎず、好感の持てるものだ






カワサキイチバン