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ヨシムラ

ヨーロッパの山岳道路や石畳といった多様な路面状況に左右されることなく、ライディングが楽しめるヴェルシス。日本では長距離ツアラーとしての位置づけが強いモデルだ。このヴェルシスにシリーズ長兄となる1000ccエンジンを搭載したヴェルシス1000が新たに登場した。


同ジャンルでは異端の4気筒エンジン。さらに独自の味付けで扱いやすさをプラス

エンジンはZ1000をベースとする並列4気筒エンジンを採用。パワーは118ps、トルクは10.4kgf・mを発揮し、低中回転域が強化されている点がベースとなったZ1000とのエンジン特性の違いである。Z1000のエンジンは高回転域で伸びのいい特性だが、ヴェルシスは低回転域から力強いパワーとトルクを発揮する特性となっており、最高出力、最大トルクともにZ1000より低いエンジン回転数で発生する。このエンジン特性とするため、カムシャフトやインジェクションなど、Z1000とは異なる多くのエンジンパーツを使用している。


完全新設計のアルミフレームに加え、サブバルブ付のKYB製次世代フロントフォークを装備

まずフレームだが、メインチューブをエンジン上部にレイアウトしたアルミツインチューブフレームを採用。軽量で高剛性な車体とすることで、軽快なコーナリング性能をねらっている。さらに、スリムな車体とすることで、4気筒エンジンを搭載した見た目大柄なフォルムでありながら、ニーグリップしやすい車体としている。リヤショックはスイングアームピボット上部に水平にレイアウト。この配置にすることで、スイングアームピボット下にスペースを設け、そのスペースにマフラーの大型チャンバーを配置することが可能となり、マスの集中化を図ることとなる。

車体関連でもう一つ特筆すべき点がフロントフォークだ。伸側・圧側ともにメインのバルブに加え、サブバルブを装備。このバルブはメインバルブとは逆方向に動き、フロントフォークの伸縮が切り替わる際に逆方向へ流れるオイルをコントロールする働きがある。通常のフロントフォークでは、伸縮する際、メインバルブが完全に閉まる一瞬の間にフォークオイルが逆流してしまい、一時的に減衰力を失うことがある。ヴェルシス1000に装備されるサブバルブはこの逆流を防ぎ、安定した減衰特性を維持させる効果があり、フロントフォークの動きをスムーズにすることに貢献している。

ほか燃料タンク容量は21Lを確保。この大容量タンクの採用により、カワサキの計算上では、ガソリン満タンでの航続距離は400km程と発表されている。また手動で高さが可変するウインドスクリーンを採用し、ライダーを包み込むようなボディワークとすることで高いウインドプロテクションを実現。さらにABSやリヤキャリアを標準装備とし、快適性を向上させている。

走行性能、装備ともにビッグアドベンチャーモデルの新たな境地を開拓したこのヴェルシス1000。ワインディング走行を存分に楽しめる長距離ツアラーが、カワサキのラインナップに加わった。


オフィシャルビデオ



Versys 1000 (KLZ1000ACF)※欧州一般仕様



スペック一覧

全長×全幅×全高 2,235×900×1,405(㎜)
[スクリーン最高時全高:1,430mm]
軸間距離 1,520mm
最低地上高 155mm
シート高 845mm
ホイールトラベル (F)150mm(R)150mm
キャスター/トレール 27°/107mm
ハンドル切れ角(左/右) 34°/34°
Fフォーク φ43mm、伸側調整:無段階、プリロード調整:無段階
リヤショック 伸側調整:無段階、プリロード調整:無段階
Fブレーキ キャリパー:対向4ポット、ローター:φ300mm
リヤブレーキ キャリパー:1ポット、ローター:φ250mm
車両重量 239kg
エンジン 水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列4気筒・1,043cm3
ボア×ストローク 77.0×56.0(mm)
圧縮比 10.3:1
最高出力 86.8kw(118ps)/9,000rpm(欧州/オーストラリア/東南アジア)
78.2kw(106ps)/9,000rpm(フランス)
最大トルク 102N・m(10.4kgf・m)/7,700rpm(欧州/オーストラリア/東南アジア)
96N・m(9.8kgf・m)/6,800rpm(フランス)
トランスミッション型式 常噛6段リターン
一次減速比 1,627
ギヤレシオ 1速 2.692
2速 1.950
3速 1.529
4速 1.304
5速 1.136
6速 0.958
二次減速比 2.867
燃料タンク容量 21L
タイヤサイズ (F)120/70-17 (R)180/55-17



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