ヨシムラ
2018年の発売以来仕様のモデルチェンジがほとんどなかったZ900RSが2026年2月発売予定の2026モデルで大きく変わる。スタイリングはほぼ変わらないけれど、機能面において新たにIMUを搭載して電子制御スロットルバルブ(ETV)を採用したのだ。これによりクルーズコントロール、アップ・ダウンに対応するクイックシフターが装備され、ABSなどブレーキに関わる電子制御の精度も向上している。ほかにも細かく手が入っており、それらをパートごとに紹介しよう。
エンジン
先に挙げた電子制御スロットルバルブの採用に加え、吸気ファンネルの1、4番を大幅に短く、2 & 3番を少し長くすることで、力強くレスポンスのいいトップエンドパワーを追求。また、高回転域でより力強くスポーティなフィーリングを求めて、カムプロフィールをIN:248度/7.0㎜ → 270度/8.0㎜、EX:244度/7.0㎜ → 250度/7.40㎜に変更している。さらに高回転域でよりパワフルなフィーリングを得られるよう圧縮比を10.8:1から11.8:1に増加。クランクシャフトのフライホイールマスは高回転域でのエンジンレスポンス向上のため従来モデルより約10%削減している。加えてパワーバンドを維持しやすいようにギヤ比もクロスレシオ化され、変則時のエンジン回転が落ちるのを抑制しているのだ。これらの物理的アップデートに合わせてECU設定を最適化することで、低中回転域ではスロットルレスポンスがより穏やかに、高回転域ではスムーズに吹け上がるようしている。
マフラー
エキゾーストパイプからプリチャンバー、サイレンサーまで形状が変わっている。エキゾーストパイプは、従来モデルよりも前方へ張り出すレイアウトになり、プリチャンバーは小型化とともに熱発生低減のため出口が絞られている。また、CO2排出量の低減と燃費向上のためチャンバー内部にサブ触媒が追加された。サイレンサーは従来モデルより70㎜延長されたメガホン形状となり、新しいパンチングパイプと組み合わせることで、騒音を抑えつつ心地よい排気音を手に入れたとのこと。その心地いい排気音のためにエキゾーストインレットパイプにバイパスホールが設置され、サイレンサー内部構造も改良されているのだ。
メーター
タコメーター内にクルーズコントロールのインジケーターが追加された。またスマートフォンとコネクトできるようになったことで、電話やメールの着信もメーター内に表示される。
シート
ユーザーからの声を反映し、長時間走行時の快適性向上のため、タックロール部の厚みと形状が見直された。従来モデルより座面が10㎜高くなっているが、足つき性はほぼ変わらないとのこと。
Z900RS Black Ball Edition
そのネーミングどおり黒にこだわったモデル。ヘッドライトケースやメーターケースのリム、給油口も黒。ホイール、ブレーキキャリバー、ブレーキ&クラッチレバー、ハンドルバー、リヤスプロケットも黒い。マフラーエンド、ヒートガードも黒だ。ただし、部分的に差し色が入ることでもその黒さが強調される。タンクとテールカウルにメタリックブラックのグラフィック、サイレンサーボディは黒と相性のいいヘアライン仕上げで、エキゾーストパイプもステンレス地のまま。ブレーキディスクローター、ステップ、ヒールガード、両ペダル、エンジンのシリンダーの装飾フィン、ボルト類も地のままだ。そのほか給油口手前に“Black Ball Edition”の文字が入り、サイドカバーのエンブレムが初期Z1を彷彿させる“Double Overhead Camshaft”タイプなのが特徴となる。
Z900RS Black Ball Edition POSITION & FOOTHOLD
素足だと両足を降ろして母指球までが接地するので、シューズを履けば、もう少し足つきはよくなり、十分な安定感を得られるだろう。上体の起きたアップライトなポジションとなる。ライダー身長:172cm 体重:68kg
Z900RS SE
ハイグレードモデルとなるSEは、従来のオーリンズ製リヤショック、ブレンボ製ø300mmフロントディスクローター、ラジアルマウントモノブロックキャリパー、ブレーキパッドの採用に加え、ハンドル右側にUSB Type-C電源ソケット、GPS対応のドライブレコーダーシステムも標準装備となった。カラーリングは、いわゆる火の玉カラーで、ホイール、フロントフォークのアウターチューブに入るゴールドが質感を高めている。マフラーは3段階のバフ処理されたモノで輝きを放つ。
Z900RS CAFE
従来と変わらずカフェレーサースタイルを追求したバージョンで、ビキニカウル、ローポジションハンドル、シングル風シートが採用される。カラーリングは、Black Ball Editionに勝るとも劣らない黒で、タンクにのみ往年の名車“マッハ”のレインボーラインをオマージュしたグラフィックが入る。サイレンサーとヒートガードはヘアライン処理されることでクリア仕上げの黒を引き立たせている。
Z900RS CAFE POSITION & FOOTHOLD
シート高がBlack Ball Editionより10㎜高いため、足つきは微妙に悪くなるけれど、体感的にはほとんど変わらない。ハンドルのグリップ位置が低くなるため、Black Ball Edition、SEに比べて前傾はきつくなる。ライダー身長:172㎝ 体重:68㎏































![[第1回]脱炭素に向けたカワサキの動向](https://www.kawasaki1ban.com/wp-content/uploads/2021/10/hydrogen-strategy01_01-455x300.jpg)


